マレーロ踏み忘れ翌日に1号!長嶋以来の稀~な1発

オリックス対中日 4回裏オリックス無死、マレーロは左越えソロ本塁打を放ちゆっくりと本塁ベースを踏む(撮影・加藤哉)

<日本生命セ・パ交流戦:オリックス5-3中日>◇10日◇京セラドーム大阪

 「本塁踏み忘れ男」が半日で打ち直した! オリックスの新外国人クリス・マレーロ外野手(28)が、正真正銘の来日1号先制ソロを放った。前日9日は本塁踏み忘れで本塁打が取り消される衝撃デビュー。この日は左足と右足で入念にホームを踏んだ。「ベース踏み忘れ」の次戦での本塁打は1958年(昭33)の巨人長嶋茂雄以来2人目。ミスター級の1発に導かれたチームは逆転勝ちを収め、交流戦単独首位に返り咲いた。

 一塁側ベンチのオリックスナインが、みんな指さしていた。「踏めよ!」。マレーロは本塁手前でスピードを緩めると、確認しながらまず左足。そして右足をそろえ、両足でホームに乗っかった。今度こそ本塁打が成立だ。球団イベント「オリ達デー」で盛り上がる本拠地は、助っ人がベースを踏む姿でさらに沸いた。

 初めてのお立ち台ながらすっかり人気者だった。「本塁打を打てて、勝利に貢献できて良かった。ファンの方は私がきっちりホームベースを踏むのを確認していたと思います」。ジョークを交えた受け答えに、大きな拍手が降り注いだ。

 1回は中日ドラフト1位新人柳の直球に空振り三振。修正した4回、同じ直球を左中間5階席まで届けた。福良監督も「本当の1発ですね。当たったらあそこまで飛ばすパワーはある」とうなった。四球出塁した8回は中島の二塁打で、二塁から逆転のホームイン。こちらもしっかりベースを踏んだ。

 いとこのデベン(26)はレッドソックス内野手。野球の手ほどきを受けた兄クリスチャン(30)も米マイナーに所属したプロ選手だ。兄がモレルと以前同僚だったため、マレーロとも旧知の仲。日本文化が好きなモレルの影響も受け、5月下旬の来日から間もないが、すっかりなじんでいる。

 「食事もそうだし、ガールフレンドともいい時間を過ごせているよ。京都に行きたいけど、電車の乗り換えが難しそうだね」。1軍合流前の5日には彼女のデミ・ブスケットさん(25)と大阪のユニバーサル・スタジオ・ジャパンを楽しみ、リフレッシュしていた。

 2戦連続で1番起用されたが、福良監督は「どの並びがいいのか頭が痛いね」とうれしい悲鳴。今後はクリーンアップ昇格もありそうだ。新助っ人はたったデビュー2試合でファンの心をつかんだ。「たくさん(本塁打で)ホームを踏めたらいい。毎回、両足で!」。最後もきっちり、笑いで締めた。【大池和幸】

 ▼前日の試合で本塁を踏み忘れたマレーロが来日1号。「幻の本塁打」はマレーロで20本目だったが、次の試合できっちり本塁打を放ったのは58年長嶋(巨人)61年柳田(大毎)65年ロイ(西鉄)87年ホーナー(ヤクルト)04年新庄(日本ハム)に次いで6人目。9月19日広島戦で一塁を踏み忘れた長嶋も翌日の阪神戦で本塁打を打っている。