巨人激震人事!堤GM途中交代へ後任候補に鹿取氏ら

巨人堤GM

 巨人に激震が走る。堤辰佳GM(51)が今季途中で退任する可能性が11日、高まった。巨人の親会社である読売新聞グループ本社首脳が42年ぶりに球団ワーストを塗り替える13連敗の責任を問う声が高まっており、堤GMも責任を痛感。明日13日には株主総会と取締役会が控えており、堤GMの進退問題に発展することは必至だ。9日の連敗ストップ後は、この日の日本ハム戦(札幌ドーム)も敗れ、再び連敗が始まった。

 球団の負の歴史として刻まれた13連敗は止まったが、再び連敗が始まり、沈滞ムードが漂った。過去に類を見ない低迷が長期化する中で、球団人事が断行されることになる。

 編成面でトップを務める堤GMがシーズン途中で退任する可能性が高くなった。読売新聞グループ本社首脳は13連敗の原因を編成面の比重が高いと判断。明日13日には株主総会と取締役会が開かれる。今回の低迷が大きな議論となり、原因の追究と今後の打開策が焦点となる。その場に向けて低迷の責任を求める声が高まっており、堤GMも不振の責任を感じている。前半戦の最中で編成トップの交代が行われることは必至で、後任者も速やかに選定が進む運びになる。その場合は鹿取義隆GM特別補佐らが候補として挙がる。

 堤GMは15年5月から現職に就き、チーム強化を託された。高橋監督就任1年目の昨季は2位に終わり、オフに30億円を超える大補強を敢行。陽岱鋼、山口俊、森福と史上初めてFA選手3人を獲得した。助っ人もマギー、カミネロを加え、日本ハムから吉川光、石川のトレードも成立させた。

 だが助っ人勢と石川は主力として活躍したが、陽、山口俊は故障で大きく出遅れた。不在の中でも4月までチームは好スタートを切ったが、阿部が5月から不振となり失速。FA組合流まで持ちこたえられず、投打とも機能不全に陥った。

 本社首脳はFA組の開幕後の不在を問題視していた。低迷が始まる前だった5月10日の阪神戦を渡辺恒雄同代表取締役主筆が観戦。「ダメなところはある。3人、ここにいないじゃないか。専門的なことは分からないからスカウトに聞いてくれ。見る目がなかったんじゃないか」と厳しい言葉を残していた。その後の大失速が起こり、FA組不在の影響が表面化した。

 堤GMは就任後、長年の重要課題である育成も重視し、昨季から3軍を設立した。育成枠で外国人選手も獲得し、将来性を見越したチームづくりに着手。スカウトの態勢を見直し、ドラフトでの新人獲得もビジョンの再構築を図っていた。

 だが育成の芽が出始める前に、チームは低迷という混乱に巻き込まれた。巨人がシーズン途中で人事に大なたを振るうことになる。

 ◆堤辰佳(つつみ・たつよし)1965年(昭40)8月22日生まれ、熊本県出身。元アマチュア野球選手で熊本・済々黌高から慶大に進学。主将も務め、同大卒の高橋監督の先輩にもあたる。89年に読売新聞社に入社し、社会部などに所属。巨人では広報部長やGM補佐などを歴任し、15年5月からGMに就いた。

 ◆鹿取義隆(かとり・よしたか)1957年(昭32)3月10日、高知県生まれ。高知商から明大を経て78年ドラフト外で巨人入団。リーグ最多の63試合に登板した87年は「鹿取大明神」と呼ばれ、王巨人の初優勝に貢献。90年に西武へ移籍し、最優秀救援のタイトルを獲得。抑え、中継ぎで西武の5連覇を支えた。97年で現役を引退し、98~00年に巨人で投手コーチ。01年はドジャース傘下1Aで投手コーチ、02~03年は巨人のヘッドコーチ。14年に侍ジャパンのTDに就任し、15年のプレミア12で投手コーチを務めた。通算成績は755試合で91勝46敗131セーブ、防御率2・76。

 ◆GM(ゼネラルマネジャー)監督、コーチ、選手らの人事権を持つ、選手獲得やトレードなどチームづくりの最高責任者。95年ロッテが広岡達朗氏を初めて起用。中村勝広氏はオリックスと阪神、高田繁氏は日本ハムとDeNAの2球団で就任。他には楽天の三村敏之氏や日本ハムの山田正雄氏、中日の落合博満氏らプロ野球経験者を起用する球団が多い。球界OB以外では巨人の清武英利氏、原沢敦氏、堤辰佳氏、日本ハムの吉村浩氏ら。