阪神交流戦Vあるぞ プロ8年目甲子園初、俊介弾

4回裏阪神2死、左中間へ勝ち越し本塁打を放ち、笑顔の金本監督(左)とタッチを交わす俊介(撮影・清水貴仁)

<日本生命セ・パ交流戦:阪神7-2西武>◇13日◇甲子園

 交流戦Vいったるで~。阪神が「日本生命セ・パ交流戦」で、勝率1位争いに踏みとどまった。同点の4回、俊介外野手(29)が勝ち越しの今季1号ソロを放った。プロ8年目での甲子園初アーチ。糸井嘉男外野手(35)が負傷の影響でベンチスタートが続く中、交流戦ラストウイーク初戦で大きな勝利を運んできた。虎は首位3球団を1ゲーム差で追う5位タイ。交流戦13年目での「初V」へ、本拠を埋める虎党の声援にも乗って突き進むぞ!

 糸井欠場も、主軸の不振も、その一振りがかき消してくれた。同点の4回2死走者なし。俊介が振り抜いたバットを投げ、夢中で走りだした。目を見開いて打球の行方を追う。「風もあったので、風が助けてくれたのかなあとは思います。ホームランを打つバッターじゃないので」。打球は鮮やかな弧を描き、左中間スタンドまで届いた。

 これが今季1号、通算でも4号、そしてプロ8年目での甲子園初アーチとは思えない。金本監督もビックリの完璧な一打だ。指揮官は「入ると思わなかった」。さらに「本当に、いい打ち方をしたんでしょうね。どうせ打てないだろう、と見ていた(笑い)。意外とボールが落ちなくて、一番深いところに入ってくれて」とジョークも交えながら笑顔で振り返った。

 試合を最初に動かしたのも、この男。2回に先制2点二塁打。140キロの高め直球を左中間へ。「しっかり振れているから(外野の)間を抜けていく」。左太もも裏の軽い筋挫傷で糸井がこの日も先発メンバーから外れた一戦。右翼を守った男は次打席での3年ぶりアーチを含め2安打3打点と輝いたが、決して偶然ではない。今春に約8キロ増量し、シーズンイン。金本監督も「体も大きくなった」と認めるパワーアップが、強い打球を放つ源だ。

 俊介は今季開幕1軍を果たしたが、出番が少なく1度降格。2軍で打率3割1分4厘、3本塁打と結果を残し、再びはい上がってきた。金本監督が「2軍のスタッフに聞いても『俊介だけは気を緩めず、ちゃんとやっていた』と。そういうことがあって、上げなおした」という男は、前カードで初めて交流戦負け越しを喫するなど苦境に立たされたチームを救った。しかも、甲子園初弾という指揮官も驚かせるアーチで、だ。

 金本阪神2年目の今季、振り返れば劇的勝利はいくつもあった。5月6日に9点差逆転勝利。交流戦開幕戦勝利は、この日の主役でもある俊介が初先発で3二塁打4打点と大暴れ。6月に入れば岡崎プロ13年目1号&翌日サヨナラ打…。ヒーローは決して主軸だけではない。糸井の先発復帰はまだ時間がかかりそう。指揮官は「勝っていくためには、代わりの選手がカバーするのが大事」。交流戦勝率1位もまだ手が届くところにある。劇弾が、新たな主役が生まれる虎が、交流戦初戴冠に挑む。【真柴健】

 ▼阪神が西武に勝ち、交流戦8勝5敗として楽天と並び5位タイ。05年から始まった交流戦で、阪神が最終的に1位になったことはない。惜しかったのは08年で、同じ15勝9敗でソフトバンクと並びトップに立ったが「勝利数、勝率が並んだ場合は、前年度交流戦順位の上位球団を上位とする」規定により、07年に10位の阪神を同9位のソフトバンクが上回り1位、阪神は2位となった。