<日本生命セ・パ交流戦:阪神2-4西武>◇14日◇甲子園
甲子園に初アーチをかけた。西武中村剛也内野手(33)が1点リードの3回に右中間席へ14号3ラン。甲子園77打席目で初めて放った1発で、12球団の全本拠地球場での本塁打を達成した。主砲のひと振りで、チームは再び貯金11とし、交流戦勝率2位に浮上。球界を代表する獅子の大砲が存在感を示した。
待っていたコースだった。3回2死一、二塁。中村は外角高めの130キロを振り抜いた。走りながら、二塁で右中間席を振り返り、柵越えを確認。「チームとして高めを(待つ)、という指示だった。フェン直かなと思ったけど、手応えはよかったです。しっかり(低めを)我慢して打てましたね」とうなずいた。
意外にも、ここまで甲子園球場での本塁打はゼロ。高校通算83本を放った大阪桐蔭時代も、聖地には縁がなかった。なぜか相性が悪く、打率も1割台で打点はわずか3だった。試合前には「甲子園は好きじゃないんですよね」。苦笑いを浮かべながらも、こう続けた。「でも昨日はいい感じだったんですよ、何となくですけど」。その予言通り、1打席目には先制の右前適時打。そして2打席目には、甲子園初アーチを、今季初の逆方向への1発で決めてみせた。
7日巨人戦で左脇腹に違和感を覚えた。4試合欠場し、前日13日に5試合ぶりに戦列復帰。無安打に終わったが、久々の打席という感覚はなかった。「今までの経験もありますし、(球の)スピードに違和感を感じなければ、大丈夫だと思ってます」。積み重ねてきた経験と技術への確かな自信が、下地となっていた。
これで12球団の全本拠地球場で本塁打を放ったが、いつも通り「よかったです」と淡々とした感想。通算344本目での甲子園初弾にも、もちろん「打ててよかったです」。個人記録よりもチームが勝つために打つのが仕事。だからこそ「投手が頑張ってくれてたので」と勝利への貢献だけを喜んだ。やはり、この男のバットは心強い。【佐竹実】