西武菊池雄星は崩れない…超安定12戦QS100%

中日対西武 気合の表情で声を上げる菊池(撮影・前岡正明)

<日本生命セ・パ交流戦:中日1-9西武>◇16日◇ナゴヤドーム

 あのマー君以来の安定感だ。西武菊池雄星投手(26)が中日戦で、8回1失点と好投し7勝目。これで開幕から12試合連続のクオリティースタート(QS=先発6回以上、自責点3以下)を記録し、パ・リーグでは楽天が優勝した13年田中(楽天=開幕27連続)以来の快挙となった。交流戦は史上10人目の7連勝で、通算50勝目を飾った。

 8回にギアを上げた。菊池は、8番武山にこの日最速の154キロを3球連続で投げ込んだ。フォロースルーの左足が高々と上がる。この回は3三振を追加し、合計10奪三振。悠然とマウンドを下りた。「8回までと言われていたので、全力でいった。きれいにというか、三振を狙いにいった」。最後を豪快にまとめた119球を振り返った。

 柱として、チームを助けた。前日は勝ちパターンの投手をつぎ込んだ継投で延長10回のサヨナラ負け。菊池に長いイニングを期待していた。辻監督は「最低8回はいって欲しかった。案の定、エンジンを吹かしてくれた。ガソリンがかすかすになるまで自分を出し切ってくれる」。土肥投手コーチも「エースとしての自覚が出ていた」と評価した。

 米国で先発投手の能力指標として重要視されるQSは、開幕から12試合連続に伸びた。「全く意識してない。それよりもチームが勝てばいい。自分の仕事をしました、で満足しちゃいけない。最後にチームが勝っていることが大事」。高校時代から米国へのあこがれを隠さないが、このあたりの感覚は日本的。通算50勝には「よく無駄な努力、経験をするなと言われるけど、僕は良かったと思う」。大リーグとの争奪戦となった高校時代に見せた能力からすれば時間はかかったかもしれないが、8年かけての到達に後悔はない。

 初のナゴヤドーム登板だったが危なげなくクリアし、交流戦は自身通算7連勝で締めた。次回登板はパ・リーグ相手に戻る。「チームにいい投球で勝ちをもたらしたい」。これまで1年間ローテーションを守った経験がなく「それだけが目標と言ってもいい」と期するだけに、今後も安定した投球の継続だけを求めていく。【斎藤直樹】

 ▼菊池が今季7勝目。交流戦は15年5月30日阪神戦から7連勝となり、通算では12勝2敗。交流戦の最多連勝は和田(ソフトバンク)と内海(巨人)の9連勝で、7連勝以上は10人目。西武投手の交流戦7連勝以上は初めてになる。交流戦で通算10勝以上している投手の勝率上位を出すと、(1)斉藤和(ソフトバンク)・909(10勝1敗)(2)菊池(西武)・857(12勝2敗)(3)田中(楽天)・778(21勝6敗)。勝率8割以上は斉藤和と菊池だけ。