今季引退の井口資仁、次期ロッテ監督の筆頭候補

ロッテ井口(右)は鈴木(左)、角中から花束を贈られ笑顔を浮かべる(撮影・中島郁夫)

 球界最年長であるロッテ井口資仁内野手(42)が20日、ZOZOマリンで会見を開き、今季限りでの現役引退を表明した。昨年オフの契約更改の際、球団に残り1年での引退を申し入れていた。今季の残り試合も1軍でプレーを続け、日米通算21年目でユニホームを脱ぐ。球団は実績や人柄を高く評価。次期監督の筆頭候補に挙がっている。

 いつものさわやかな笑顔だった。スーツ姿で会見場に現れた井口は「今季限りでユニホームを脱ぐことを発表させていただきます」と切り出した。「周りの人以上に好き」と自負する野球をやめるが、涙はみじんもなかった。

 球団には、昨年の契約更改で引退の意思を伝えた。「(13年に)日米通算2000安打を打ってから、引き際を考えてきた」。本来なら開幕前に発表のつもりだった。少しでも早く公表し、ファンやお世話になった人たちにプレーする姿を多く見てもらいたかったからだ。ただ、チームはオープン戦勝率1位。「良い流れを止めたくない」と自重し、試合がない交流戦終了後のタイミングを選んだ。

 チームメートには、この日の練習前に円陣で伝えた。「厳しい状況だけど、全員で力を合わせて戦い抜こう」と呼び掛けた。借金25の最下位だけに、引退発表を自ら「起爆剤」と表現。「残りシーズン、頑張って、みんなで1個でも上の順位を目指したい」と力強く言った。

 そういう姿勢もあり、球団からは「功労者というより人として素晴らしい」と評価される。今後について、林球団本部長からは「何も決まってないし、何も話し合っていません。ただ、とても大事な財産。できれば、チームの力になって欲しい」と期待された。25歳以下の若手や長距離打者が育たないチーム事情もある。野球やトレーニングの知識が豊富で、自身がスピードタイプから大砲へのスタイルチェンジにも成功した井口は、格好の監督候補といえる。

 最終的な監督の決定権は重光オーナー代行にあるが、同じ青学大出身の井口ならば、首を縦に振る可能性は高い。現状、伊東監督の来季続投も選択肢にあり、監督交代がいつ発生するのかは未定だが、その時は井口が必ず候補になる。もっとも、引退後のプランを聞かれた井口は「何も考えていません。残り試合を精いっぱい、やり抜こうと思います」と即答。今は、目の前の試合に挑むことしか頭にはない。【古川真弥】

 ◆井口資仁(いぐち・ただひと)1974年(昭49)12月4日、東京都生まれ。国学院久我山2年夏に甲子園出場。青学大では東都大学リーグ最多の24本塁打を放ち、96年アトランタ五輪銀メダル。同年ドラフト1位でダイエー(現ソフトバンク)入団。97年5月3日近鉄戦で新人初のデビュー戦満塁本塁打。01、03年盗塁王。01、03、04年にベストナイン、ゴールデングラブ賞。04年オフにダイエーを退団して渡米。05年、ホワイトソックスの2番・二塁に定着して88年ぶりワールドシリーズVに貢献。08年フィリーズでも、シリーズ出場はなかったが世界一。09年以降はロッテでプレー。09年4月7日に全打順本塁打をマーク。13年7月26日、日米通算2000安打達成。178センチ、91キロ。右投げ右打ち。01年、登録名を忠仁から資仁に変更した。家族は夫人と1女。