DeNA今永完封!ラミレス監督肉体、精神「成長」

ヤクルト対DeNA 8回裏ヤクルト2死一塁、山田を三振に仕留め、ほえる今永(撮影・丹羽敏通)

<ヤクルト0-6DeNA>◇25日◇神宮

 DeNA今永昇太投手(23)がヤクルトを完封し、4勝目を挙げた。変化球を自在に操って最速149キロの直球を内角に強調させ、4安打に封じ込めた。ルーキーイヤーには疲労で穴をあけた6月下旬に、今季2度目のシャットアウト。左肘痛から復帰した石田、ドラ1浜口とともに、Aクラスを固める強力な左腕の3本柱が立ちつつある。

 自軍の攻撃が2死になると、今永はベンチ前に出た。左足一本でケンケンしたり、立ったまま止まったり…9回も丁寧にキャッチボールした。マウンドと同じようにユニホームの股関節まわりにシワが入り、上半身は適度に前傾していた。「いつも失点してしまう4回を越え『いけるのでは』と」。プレート板の前、赤土を丁寧にならし、141球目の中飛を見届け、控えめに両こぶしを握った。

 「コントロールで勝負している。4個の四球。うち3個が先頭。もっと球数少なくいける。反省です」と辛い評価をした。ただ投球の内訳を見れば、いかに自分の土俵で勝負を貫いていたか分かった。打者34人に対し、初球ストライク22人。12度の初球ボールは「状態がいい」とマークしていた坂口に対して3度。2ボールは5回で、うち2回は坂口に対して慎重を重ねたもの。与四球が完封の足かせとなる気配はなかった。

 湿度70%台の蒸し暑さが指のかかりをアシストした。ただ、最速149キロの球威も、「直球とチェンジアップ。意外と良かった」とする投げ分けも、好条件だけを根拠とするには説明しきれないデキだった。

 フォームが変わらないから操れた。マウンドの頂点、プレート板の前には15・2センチだけ真っ平らな場所がある。成人男性の足幅は約13センチ。そこに真っすぐ立てるかが一流か否かを分ける。「真っすぐ立てている感覚はすごく大切。少し猫背に見えるかも知れないが、僕の中では真っすぐ立てている感覚がある。いつも探している」。プロ1年目、ファーム調整時の言葉だ。

 1年前は疲労で1軍にいなかった。避けて通れない「年間通しての働き」という壁に当たった。乗り越えたから完封できた。石田との左腕コンビでヤクルト戦勝ち越し。ラミレス監督は「フィジカルとメンタル。去年に比べ成長した」。DeNAには上がり目の根拠がある。【宮下敬至】

 ▼DeNA今永が4月19日広島戦に次いで今季2度目の完封勝利。DeNA投手のシーズン2完封は昨年に2試合連続を含む3完封を記録した山口俊(現巨人)以来だが、チームの左腕では横浜時代の93年野村弘樹(3完封)以来24年ぶりとなった。投球141球はプロ入り最多。前回の11日西武戦も敗戦投手ながら完投しており、2試合連続完投はプロ入り初めて。