<阪神5-4ヤクルト>◇2日◇甲子園
超人の「反攻の夏」も幕を開けた。6月は月間打率2割3厘でノーアーチに終わった阪神糸井嘉男外野手(35)が、約1カ月ぶりの1発となる8号ソロを右翼席に運んだ。7回にチームの連勝をたぐり寄せる放物線。2試合連続のマルチ安打も記録し、いよいよ待望の完全復調といえそうだ。
風を切り裂いた打球は右翼ポール際に飛び込んだ。3番糸井がチームトップの8号ソロでトドメを刺した。4-3と1点リードの7回1死の場面だ。カウント1-1から近藤の108キロカーブに反応した。ギリギリまで引きつけて豪快にフルスイング。4万5950人の観衆を集めた日曜日の甲子園。地鳴りのような大歓声を独り占めした。
「幸せでした! ファンの声援が、最後の一押ししてくれました」
今季5度目のヒーローインタビューでは、久しぶりに笑顔が戻った。本塁打は5月30日ロッテ戦で石川から右翼越え2ランを放って以来。実に83打席ぶり。6月9日ソフトバンク戦で左太もも裏を負傷した。その後、20打席ノーヒットを味わうなど、思うように結果が伴わない打席も続いた。トンネルが暗く、長かったからこそ、手に残る感触は格別だ。
お立ち台から降りた糸井は「勝てて良かった」と言い残してクラブハウスに消えた。試合後も練習に時間を費やすためだ。プロの道を歩み始めた日本ハム時代からそうだった。レギュラーを手にしてからも、試合の合間に鎌ケ谷の2軍施設に現れ、ティー打撃を繰り返した。練習をやったものが勝つ-。打者転向した06年に死に物狂いで練習した。そのころに口酸っぱく言われた言葉が、今でも体に染みついている。
金本監督も胸をなで下ろした。3番糸井がソロアーチを含む2安打に、4番福留もマルチ安打。我慢して不振だった3、4番コンビのお目覚めを待っていた指揮官は「糸井自身もしばらく長打が出てなかった。彼自身、これをきっかけに、4月の調子に戻してほしい」と、主軸の再進撃に期待した。
前日1日に糸井が6試合ぶりのマルチ安打を放てばチームの連敗が8でストップ。1カ月ぶりにアーチを放てば連勝だ。この男が輝けばチームも輝く。【桝井聡】
▼糸井の甲子園での4本塁打はチーム最多。昨季の最多はゴメス10本塁打だったが、左打者に限ると福留、高山の3本塁打。今季の糸井は早くも上回った。またチームは、前日1日ヤクルト戦の大山に続き2試合連続で本塁打。6月11日ソフトバンク戦梅野、同13日西武戦俊介の2試合連続以来。