大谷復帰弾まで80cm もう目前完全復活&アーチ

日本ハム対西武 4回裏日本ハム無死、右翼フェンス直撃の二塁打を放つ大谷(撮影・黒川智章)

<日本ハム4-11西武>◇3日◇東京ドーム

 復帰弾まで“推定80センチ”足りなかった。日本ハム大谷翔平投手(22)が86日ぶりに「5番DH」でスタメン復帰し、1点を追う4回に右翼フェンス直撃の二塁打を放った。あと少しで本塁打となる弾丸ライナーで追い上げムードを演出も、代走を送られて途中交代。2打席で交代となった大谷のスタメン起用も実らず、チームは大敗。借金は今季最多タイの14となった。

 ラインドライブのかかった打球は、スタンドまでわずかに届かなかった。4回だ。4番レアードが1点差に詰め寄る18号を放った直後だ。5番DH大谷。東京ドームを埋めた日本ハムファンの大歓声に迎えられ、カウント2-1からの内角スライダーを振り抜いた。「バットの先だったので入らないかな」と感じた打球は、フェンス最上部に突き刺さる。足りない高さは推定で80センチ。もう1歩で2者連続のアーチだった。

 一塁までは7割程度で走り、一塁ベースを蹴った後はさらにスピードを落として二塁に到達した。すると再び、どよめきが起きた。代走が送られた。第1打席は四球。2打席連続でのチャンスメークにも栗山監督に迷いはなかった。結局、後続は倒れ、高まった逆転への機運はしぼんだ。試合後に最大で2打席限定だったのかと問われた栗山監督は「そうですね」と即答。仮に走る必要のない本塁打だったら、さらに1打席立った可能性はあるが、基本的には、打席数は決められていた。

 走塁面には不安を残している。6月25日楽天戦(札幌ドーム)の試合前、6~7割の力加減でスパイクを履いてベースランニングを再開。ただ、2度目は行っていない。スライディング練習もまだだ。大谷と栗山監督の間では、1日の2軍戦で先発復帰登板、その2日後に1軍で野手スタメン復帰という流れは出場選手登録の6月23日以前に確認済みだったという。

 大谷は試合後「走塁がどうのこうのというわけではなく、まずはヒットを打つのが大事」と、この日の試合を振り返った。投打で着実にプレーの質は上がっているが、限定的な起用は今後も続く見込みだ。この日、大谷交代後の打線は1得点のみ、終盤には投手陣が崩れて大敗を喫した。大谷は、試合の流れを左右できる存在だけに、起用法には難しさが伴う。栗山監督は試合結果には「スイマセンでした」と陳謝した。ただ、大谷については「全てが計算通りで進んでいるので」と、明かした。試行錯誤は続くが、完全復活と、その先にある豪快アーチは、もう目前だ。【木下大輔】

<大谷の経過>

 ◆負傷 4月8日オリックス戦(京セラドーム大阪)の1回、一塁への走塁中に左太もも裏肉離れ。翌9日に出場選手登録を抹消され、10日にはインフルエンザB型を発症。15日からリハビリ開始。

 ◆復帰プラン白紙 5月27日に屋外フリー打撃を再開も、6月2日の定期検査で左足の筋力回復遅れが判明。ベースランニングは見合わせ筋力アップに重点。

 ◆ブルペン再開 6月13日にブルペンで本格的な投球を再開。同16日に都内病院で順調な回復が確認された。出場登録された23日楽天戦前には人工芝でベースランニングなどを確認。

 ◆復帰 6月27日ソフトバンク戦に代打で出場し空振り三振。翌28日は代打で左前適時安打。

 ◆157キロ 7月1日、イースタン・リーグの西武戦に先発し1回1失点。初球に157キロ出す。