巨人菅野8勝「仕事するだけ」中4日もエースの哲学

7回表終了後、坂本勇(左)を笑顔で迎える菅野(中央)と石川(撮影・横山健太)

<広島0-5巨人>◇5日◇マツダスタジアム

 巨人菅野智之投手(27)が、ハーラーダービー単独トップとなる8勝目を挙げた。

 前半戦最後の9連戦で今季6勝のマイコラスを2度登板させるため、2年ぶりに中4日で先発。首位広島打線を6回3安打無失点に抑え、2試合連続の無失点リレーに導いた。打線も11安打5得点と投打がかみ合い2連勝で、今季初めて広島戦の勝ち越しに成功。5位と低迷する中、意地を見せた。

 菅野が目の色を変えた。1点リードの5回1死一、二塁、打者は会沢。テンポ重視の投球を初めて迎えたピンチで「力で押し込む」と決めた。直球系を突っ込み、二ゴロ併殺打に仕留めた。「試合の鍵になると思って全力で投げた」。右手でグラブを3度たたいた。

 チームに勝ちをもたらすことだけを考えた。15年10月16日のクライマックスシリーズ・ファイナルのヤクルト戦以来、自身3度目の中4日での登板。過去2度は黒星で、得意とは言えない。だが9連戦最後の12日ヤクルト戦にマイコラスを投入するため、間隔を詰める必要があった。「いけと言われたところで仕事をするだけ」と覚悟を決めた。

 菅野なりのエースの哲学がある。「記録はチームの勝ちに直結してこそ」。3試合連続完封を達成した直後の5月上旬。斎藤2軍監督に並んだ、という周囲の声を否定した。「その年、斎藤さんは20勝し、245イニングを投げている。その中で達成した記録。チームへの貢献度が違う」。自ら大先輩の記録を調べ、偉大な数字を意識に置いた。チームを最優先する姿勢の重要性を再認識している。

 だからこそ中4日を言い訳にせず、勝つ投球を貫いた。通常は常時150キロ前後の球速を、勝負どころ以外は140キロ台中盤に抑えた。スライダーとカーブを軸に、積極的な広島打線を打たせて取った。6回を82球、3安打無失点と勝利の道筋をつけ、ハーラー単独トップの8勝目を挙げた。イニング数も103回2/3となり、目標に掲げる初の200イニング突破に迫る年間197回ペース。エースとして勝利に直結する数字を積み上げている。

 広島戦2連勝に「広島にやられっぱなしではプロとして恥ずかしい。意地を見せられたかな」と喜びつつ「チームは非常に苦しい状態。まだまだ半分。勝ちにこだわっていきたい」と力を込めた。次回は中5日で11日のヤクルト戦が濃厚。低迷から脱するため、腕を振り続ける。【浜本卓也】

 ▼中4日で先発した菅野が6回無失点で勝利投手。菅野の中4日先発は15年9月27日ヤクルト戦以来2度目だが、15年は敗戦投手。前回の先発から中4日以内の先発で白星を挙げた巨人投手は11年10月12日内海以来、6年ぶり。その後は昨年8月28日マイコラスまで7人続けて勝てなかった。リリーフ陣も0点に抑え、広島戦では12年8月17、18日以来の2試合連続完封勝ち。これで巨人の完封勝ちは両リーグ最多の今季13度目となり、早くも昨年の12度を上回った。33勝のうち13勝が完封と借金がある巨人だが、完封勝ちは多い。