楽天鷹に連勝!岸が今季初ナイターで元「夜王」貫禄

ソフトバンク対楽天 嶋(左から2人目)から祝福され笑顔を見せる岸(中央)(撮影・栗木一考)

<ソフトバンク0-2楽天>◇12日◇ヤフオクドーム

 「夜王」が帰ってきた。楽天岸孝之投手(32)が、今季初のナイターで前半戦最後の試合を締めた。右手親指のマメがつぶれ、流血しながら6回2安打無失点。梨田監督らが交代を促す中、7回も志願する情熱を見せた。西武時代の10年にはナイター14連勝をマークするなど、相性のいい夜で血をたぎらせた。則本-岸の両看板をぶつけて、ソフトバンク2連戦を連勝。貯金を今季最多の26に伸ばした。

 岸は、7回表の攻撃で2死となると当然のようにキャッチボールを始めようとした。梨田監督は×サインを出したが、7回のマウンドに上がった。ただ、つぶれた右手親指のマメの影響で無念の降板となった。「気付いたら血が出ていた。もうちょっと長い回を投げたかった」。帰りのバスに乗り込む午後10時でも、真っ白いパンツに浮き上がった赤い斑点は目立った。

 今季初のナイターゲームだった。「影響はなかった。前半戦最後の試合。大事な試合だった。相手はソフトバンク。しっかり調整してきた」。4回まで無安打に抑える完璧な立ち上がりを見せ、6回を無失点で7勝目を挙げた。細長い指先から放たれる低めギリギリの直球と、緩急をつけるチェンジアップで、強力なソフトバンク打線を相手に被安打は「2」だった。

 これまでの岸は「昼顔」だった。先発登板した12試合は、全てデーゲームでの登板だったが「疲れは大丈夫です。食べるのも問題ない」と甘いマスクの口元が緩んだ。4回には1死から柳田をチェンジアップで空振り三振、内川には外角直球で2者連続の空振り三振に仕留めた。社会現象ともなった不倫を描いたテレビドラマ「昼顔」。主演の斎藤工に負けず劣らずのセクシーな投球だった。

 そんな男も、かつては「夜王」と呼ばれた。西武に在籍していた10年にはナイター14連勝をマークした。昨季までの3年間もナイターでの防御率は、2点台をキープするほど相性は抜群だった。「あんまり関係ないです」と素っ気ないが、「今年はデーゲームばっかりなので、朝7時30分には目が覚める。6時間くらい寝るんですけど。12時、深夜1時に寝る6時間睡眠と、深夜3、4時に寝る6時間の睡眠は翌日の体が違う」とコンディションに気を使いながら、大一番に合わせてきた。今年の岸は、昼も夜も強い。【栗田尚樹】