新球宴男DeNA筒香、同学年菊池から狙った左へ

4回裏全セ1死、左中間へ同点ソロ本塁打を放つ筒香(撮影・上田博志)

<マイナビオールスターゲーム2017:全セ2-6全パ>◇第1戦◇14日◇ナゴヤドーム

 4番筒香が“2発”の打ち上げ花火で、球宴を彩った。DeNA筒香嘉智外野手(25)が、「マイナビオールスター2017」で、4回の第2打席に同学年の西武菊池から、左翼越え本塁打を放った。試合前のホームランダービーでは、マシンも人も予測不能の「5階席弾」で度肝を抜く特大弾を披露。敢闘選手賞に選ばれた。球宴限定で復活した4番で、主砲らしく期待に応えた。

 オールスターアーチは、筒香がしのぎを削った好敵手からだった。第2打席、対するは菊池。初球、146キロの直球をフルスイングした。逆方向の左翼スタンドへの打球に「シーズン中、あっちの逆方向へまったく打てていなかったので。シーズン中にとっておきたかったんですけどね。(菊池は)高校の時から知っている選手。よかったです」。昨季から球宴3戦連発。同い年の菊池から打った。

 球宴のテンションに加え、菊池との対決で8年前のような緊張感が自然とあふれ出た。高校3年の09年5月に初対決。横浜高の4番が、花巻東のエースとのドラ1対決に、メジャー、国内球団スカウト約30人が集まった。しかし、筒香は試合3日前に39度4分の発熱。菊池と勝負するために点滴を打って強行出場で放った推定120メートル弾を思い出し「当時からすごいというイメージの投手」。高校時代から名勝負を繰り広げた2人が球宴を盛り上げた。

 試合前には、マシンも人も、予測不能の度肝を抜く“5階席弾”を放っていた。ホームランダービーでの6スイング目、打球がグングン伸びた。失速することなく落ちたのは右翼スタンド5階席。来るはずがない場所に飛んできた観客たちも、慌てて散り散りばらばらに落下地点から逃れた。

 トラックマンシステムの測定によると推定飛距離は133メートルにとどまったが、4階席に打った柳田が139メートルとつじつまが合わない。機械をも狂わせた1発。推定150メートルの特大弾は、柳田との対決に負けはしたものの、インパクトはキング級だった。球宴初出場で優勝した2年前、打撃投手を務めた阿部から試合前日13日に「投げようか?」と言葉を掛けられ即答。「阿部さんの球がよかった」と規格外の2発が生まれた。

 広島緒方監督から託されたセ界の4番。球宴を「真剣勝負」と言う一方で「オールスターにしかできないことがある」と見せる心も忘れずに、アーチで球宴に花を添えた。【栗田成芳】

 ▼筒香が16年第1戦から3試合連続本塁打。球宴の連続試合本塁打は97年第2戦~99年第1戦松井(巨人)の4試合が最長で、3試合以上続けたのは6人、7度目。この日の筒香は通算5試合目の出場で、3試合目からの3戦連発。これまで最も早く記録したのは出場6試合目からの79年第3戦柏原(日本ハム)で、筒香が「最速」の3戦連発だ。また、筒香は出場した5試合すべて打点をマーク。5試合連続打点は01年第1戦~02年第2戦松井、07年第2戦~10年第2戦山崎(楽天)に並ぶ記録で、初出場の試合から5試合連続打点は初めて。