阪神、異例の早期決定!金本監督に来季の続投要請

蒸し暑い甲子園で空を見上げる金本監督(撮影・清水貴仁)

 阪神坂井信也オーナー(69=電鉄本社相談役)が14日に兵庫県西宮市の球団事務所を訪れ、金本知憲監督(49)に来季の続投を要請した。この日までに今季が最終年の2年契約だったことが判明。球団側は若手育成を含めたチーム作りを高く評価し、長期政権を託す方針だ。金本監督は「意気に感じてやっていくだけ」と前向きに返答。来季も金本阪神でペナントレースを戦うことが事実上、決定した。

 坂井オーナーが球宴期間に異例の行動を取った。午後2時半に、球団事務所を訪れ、金本監督と会談。約1時間に及んだ中身は後半戦の激励と、来季の続投要請だった。「シーズンの激励と来シーズンのことをお願いするということで。前向きに受け止めてくれたと思うけど…」。18年も引き続き、金本監督に指揮を執ってもらいたい。その思いを伝えた。指揮官も「こっちは意気に感じてやるだけです。こちらは1年半やってきたことを続けてやるだけ。オーナーもそれを望んでいる。引き続きがんばってほしい、と」と受諾に前向きな考えを明かした。来季の続投は事実上、決まった。

 過去の監督人事については、シーズン終了後まで動かなかった。今回の早期の要請には背景がある。15年オフに結んだ金本監督との契約年数は「2年」だった。今年が最終年になる。現在、チームは首位広島に8ゲーム差をつけられているが、貯金7で2位と奮闘している。同オーナーは「若手の育成だけじゃなく、チームを変えていかなあかんというところで、しっかりチームを変えている。土壌の部分から、非常に熱心にやっていただいている」とチーム作りへの手腕を高く評価。今年の最終順位にかかわらず、金本路線を継続する方針を固めた。チームが失速すれば、周囲は騒がしくなる。雑音を事前に防ぐ意味でも、「金本支持」を鮮明に打ち出した。

 再契約については、シーズン終了後に細部を詰めていく方向だ。球団首脳は「チームを変えるには、すぐにはできない。年数はかかる。少なくとも5年はやってほしい」と言う。球団側は複数年提示も視野に、契約延長の内容を練っていく。今季は期待された原口や高山、北條といった若手の伸び悩みはあるが、戦力の底上げには成功している。桑原-マテオ-ドリスの勝ちパターン編成など用兵面でもさえを見せた。強いチームを作り上げた広島に対抗するためにも、金本監督に長期政権を託すことになる。

<阪神金本監督VTR>

 ◆就任要請 15年、9月上旬まで首位を走りながら終盤失速して優勝を逃し、和田監督が退任。球団は野球解説者として活動していた金本氏に次期監督就任を要請した。「指導者経験のない自分が重責を果たせるのか」と慎重だった同氏も、3度の交渉を経て受諾を決意した。

 ◆掛布2軍監督実現 監督就任が決まると、掛布球団本部付育成&打撃コーディネーターと「1年間一緒にやれないんですか」と球団に提案。これを受けて掛布2軍監督が誕生した。

 ◆若手育成 1年目はチームは4位に沈んだが、「超変革」を掲げ、生え抜きの若手を育てることに注力。ドラフト1位の高山が新人王を獲得し、育成から抜てきした原口は4番を務めるなど急成長。北條や岩貞らも台頭した。

 ◆糸井獲得 2年目へ、FA権を行使したオリックス糸井との交渉に金本監督が出馬。ラブコールが実り獲得成功した。