楽天球団初貯金30アマダー3連発翌日にサヨナラ弾

9回裏楽天無死、右越えにサヨナラ本塁打を放つアマダー(撮影・野上伸悟)

<楽天3-2オリックス>◇23日◇Koboパーク宮城

 曇天を切り裂く豪快なアーチが、チームを救った。楽天ジャフェット・アマダー内野手(30)が、同点の9回に2戦連発の13号ソロを放ち、サヨナラ勝ちを決めた。終盤まで2点を追う劣勢の上、負傷交代したペゲーロと岡島を欠く中、1発攻勢で3戦連続の逆転勝ち。貯金を球団史上初の「30」に乗せた。

 雨はやみ、曇り空から一筋の光がこぼれた。文字通り、明るい兆しだった。同点の9回先頭。オリックス西は、マウンド上でぼうぜんとした。アマダーは、豪快にバットを投げ出した。右翼中段に着弾した白球を見届け、グッと手をたたいた。高め146キロ直球を完璧に捉えた。本塁で待ちかまえるナインから大量のシャワーを浴びせられた。「毎日、チームの勝利のために頑張っている。いくか分からなかったけど、入ってくれて良かった」と2戦連発の1発は、来日初のサヨナラ弾となった。

 試合開始前から雨が降りしきった。空模様と同様、打線も湿りがちだった。7回まで3安打無得点。2点ビハインドだった。もやもやの劣勢を、島内が、晴れやかにした。8回2死一塁から、スライダーを振り切った。右翼スタンドのギリギリに届く同点弾に、球場が一気に沸いた。「入るとは思わなかった」。不安になりながら、ダイヤモンドを1周した。前日3打席連発をマークし、2戦で4発のアマダーと、1番島内の1発が、爽快な風をもたらした。

 チーム一丸で、曇天を打破した。初回に「恐怖の2番」ペゲーロが、盗塁を仕掛けた際に左太もも裏を負傷し、ベンチに退いた。さらには、8回の守備で岡島が左肩を脱臼した。主軸の途中交代というアクシデント。「ベンチもどんよりしていた」(島内)。その中で、値千金のサヨナラ勝ちだった。梨田監督も「ひょっとすると思って、心の準備はしていたけど、まさか」と、ただただ驚くしかなかった。

 後半戦初のホームゲームを3連勝で飾った。明日25日からは再び本拠地Koboパーク宮城で、2位ソフトバンクと3連戦が待っている。球団史上初の貯金「30」で、ライバルをたたく。梨田監督は「故障者も出たからね」と歯切れは悪かったが、勢いが違う。突っ走る。【栗田尚樹】

 ▼アマダーが来日初のサヨナラ本塁打を放ち、楽天が球団史上初めて貯金を30の大台に乗せた。開幕81試合以下で貯金30到達は、05年ソフトバンクが7月2日、79試合目(54勝24敗1分け)に記録して以来、12年ぶり。パ・リーグの最速貯金30は65年南海の46試合目(38勝8敗)で、楽天の81試合目はパ・リーグ11番目のスピードになる。楽天が球団創設13年目で記録したことにより、現12球団で貯金30を経験していないのはDeNAだけとなった。なお、楽天のサヨナラ本塁打は15年6月9日DeNA戦のペーニャ以来12本目。