楽天久保移籍後初勝利 9回3人7球斬りで貯金30

前日のお立ち台でアマダー(左)と「1、2、3、BURN!」をする移籍後初勝利の久保(撮影・野上伸悟)

<楽天3-2オリックス>◇23日◇Koboパーク宮城

 楽天久保裕也投手(37)が移籍後初勝利を挙げた。オリックス13回戦(Koboパーク宮城)で、同点の9回に3番手として登板。わずか7球で3者凡退に抑えた。見事に役割を果たしたベテラン右腕が、登板過多の福山、松井裕らブルペン陣を安心させた。自身も巨人時代の14年以来となる勝ち星を手にし、チームはオリックスに3連勝。貯金も両リーグ最速最多で30に伸ばした。

 歓喜のお立ち台。移籍後初勝利を挙げた久保が、サヨナラ弾を放ったチームメートを気遣った。22日の試合、3連発と爆発したアマダーが、勝利の儀式「BURN!」の掛け声を言い間違えた。そのヒーローをおもんぱかり「アマちゃんが昨日のリベンジをしたいそうなので」。照れながらスタンドのファンに呼び掛ける殊勲者とともに「ウノ(1)、ドゥエ(2)、トレ(3)、BURN!」と右手を高々と掲げた。

 久保にとって特別な1勝となった。「勝ててうれしい。この勝利は一生思い出に残る」。ウイニングボールは、アマダーがサヨナラ本塁打を放ったことで手元には届いていない。それでも「勝った事実があれば、それでいい」と笑った。

 サヨナラを呼び込む快投だった。同点の9回、3番手でマウンドに上がると、先頭の若月を速球で二飛に打ち取り、小島の投前へのセーフティーバントを難なくさばいた。最後は大城を右飛に仕留め、わずか7球。完璧なリリーフだった。この日は、決め球のフォークがブルペンから高めに浮いていたため、速球とスライダーのみで勝負。「(バッテリーを組んだ)細川さんがブルペンでも受けてくれていたので、うまくリードしてくれたんだと思う」と久保が言えば、細川も「先にボールを見ていた分、調子がわかりやすかった」。共同作業でオリックス打線を封じた。

 プロ15年目。巨人時代はクローザーで優勝に貢献し、DeNAでは戦力外を受けた。酸いも甘いも知るベテランは「今が一番、野球をやっていて楽しい。こんなに笑顔でやれていることは今までない」としみじみ語る。勝ちパターンに欠かせない存在となった久保に、森山投手コーチは「福山、松井裕を休ませたい試合で、久保が頑張ってくれる。感謝している」と最敬礼する。25日からはソフトバンクとの首位攻防戦。両リーグ最速で貯金を30とした楽天が、このまま突っ走る。【田口元義】