日本ハム入団の杉浦、あす故郷帯広の森から再出発

ヤクルト時代に巨人戦で力投する杉浦(15年10月17日)

 ヤクルト杉浦稔大投手(25)と日本ハム屋宜照悟投手(28)の交換トレードが24日、両球団から発表された。帯広市出身の杉浦は現在、右肩に違和感を抱えているが、球団は高い潜在能力を評価。将来の先発ローテーション候補と期待している。明日26日、ロッテ戦が開催される帯広の森で入団会見に臨む右腕は、高校卒業までを過ごした故郷で地元球団のユニホームに袖を通し、プロ野球人生をリスタートさせる。

 杉浦はこの日、都内のヤクルト球団事務所でトレードを通達された。困惑しながらも古巣への感謝と、故郷に根を張る新天地へ思いをはせた。「急なことで驚いています。約3年半でしたが(ヤクルトに)入団してからお世話になりっぱなしで、ヤクルト球団、ファンの皆さんには感謝の気持ちしかありません。北海道は出身地でもありますし、活躍することが、皆さんにも恩返しになると思いますので頑張ります」と、コメントを発表した。

 日本ハムでの入団会見は、26日ロッテ戦が開催される帯広の森で行われることになった。生まれ故郷で、プロ野球人生「第2幕」をスタートさせる。偶然にも交換トレード合意と、年に1度の帯広開催の日程が近かった。札幌ドームでの主催試合も近々になく、運命的な巡り合わせに導かれるように今日25日に現地入りする。帯広大谷時代に自身を成長させた球場が、再出発の舞台だ。

 栗山監督も大きな期待をかけて迎え入れる。釧路入りする前の羽田空港で、杉浦の印象を語った。「素材としては、ローテーションを守れると思っている」。13年ドラフトでも球団は北海道出身の大型右腕を高評価していたという。現在は右肩を痛めており、まずは故障完治を優先させる。コンディションを万全に戻し、先発陣の一角を担える潜在能力を引き出していく。

 杉浦は1月に、元モーニング娘。で札幌出身の紺野あさ美さん(30)と結婚したばかり。今秋には第1子が誕生予定で、テレビ東京アナウンサーだったあさ美さんは、5月末に同社を退社した。栗山監督は「どの選手もそうだけど、結婚して子どももできてね。活躍して家族を幸せにできる環境をつくってあげたい」と、新加入右腕に一家の大黒柱としての奮起を期待する。北の大地に戻る、かつてのドラ1は、地元から再起をかける。【木下大輔】

<杉浦稔大アラカルト>

 ◆生い立ち 1992年(平4)2月25日、帯広市生まれ。帯広広陽小3年から啓西マリナーズで野球を始める。帯広西陵中までアイスホッケーとの二刀流で、アイスホッケーは全国中学に出場。

 ◆高校、大学時代 帯広大谷では1年春からベンチ入りし、3年夏の北北海道大会準優勝が最高成績。国学院大では3年春にエースとして2部優勝、1部復帰に貢献し、13年の日米大学野球代表に選出された。

 ◆プロ入り 13年ドラフトでヤクルトに1位指名され、入団。14年9月10日DeNA戦に先発でプロ初登板、同年9月24日広島戦で初勝利。今季5試合を含め、通算33試合で6勝8敗、防御率4・95。今季推定年俸1500万円。189センチ、86キロ、右投げ右打ち。

 ◆家族 1月に元モーニング娘。で札幌出身の紺野あさ美さん(当時はテレビ東京アナウンサー)と結婚し、今秋には第1子が誕生予定。弟大斗(ひろと)さんは、13年の夏甲子園に帯広大谷主将として出場している。