楽天クルーズ、トレード即先発でダメ押し初ヒット

楽天対ソフトバンク 8回裏楽天1死一、三塁、左前適時打を放ち「BURN!」をするクルーズ(撮影・野上伸悟)

<楽天4-1ソフトバンク>◇26日◇Koboパーク宮城

 移籍初日に初安打初適時打だ。26日に巨人から楽天への金銭トレードが発表されたルイス・クルーズ内野手(33)が、同日夜のソフトバンク戦にいきなり「6番・遊撃」でスタメン出場。持ち味の守備では3イニング連続の併殺にすべて絡んだほか、打撃でも8回の第4打席で左前打をマーク。チームにダメ押しの4点目をもたらし、2位ソフトバンクを2・5ゲーム差に突き放した。

 7時間前に入団会見に臨んだばかりの助っ人が、早くもお立ち台のヒーローになっていた。真新しい背番号「67」のユニホームに身を包んだ楽天クルーズは、まだ少したどたどしい日本語で言った。「ヒサシブーリー!」。活躍し、ファンの大歓声を浴びる。久々に味わう、懐かしい喜びだった。

 この日朝、トレード決定を告げられた。巨人では今季、外国人枠の影響もあって1軍出場9試合にとどまっていた。楽天は二塁藤田が腰痛、遊撃茂木が右肘骨挫傷で6月から離脱中。安部井チーム統括本部長が「センターラインを強化したかった」と話すように、ゴールデングラブ賞獲得など二遊間で華麗な守備をこなすクルーズは補強ポイントに合致。推定2億4000万円の年俸を引き継ぐ形で単年契約がまとまった。

 クルーズ 腐らずに一生懸命やっていれば、どこかのチームでチャンスがあると思っていた。昨日から、1日で世界がガラッと変わったように感じている。

 得意の守備でさっそくマウンドの則本を救った。1回と3回は1死一、二塁から流れるような送球で遊→二→一の併殺を完成。2回も二塁カバーで中村晃の盗塁を阻止した。打撃では8回1死一、三塁。バットを折りながらも内角直球を左前に運び、ダメ押しの4点目をもたらした。梨田監督は「いいタイミングで、いい補強をしてもらった。故障者続出を助けてもらった」と感謝。負傷離脱中の大砲ペゲーロの穴も埋めた。

 快打に代走を出されてベンチへ戻ると、笑顔でファンに左手を上げて応えた。打席の登場曲はロッテ、巨人時代から一貫して、マーク・アンソニーの「VIVIR MI VIDA」。歌詞はこうだ。

 「私は笑おう。そして人生を楽しもう。自分の人生を生きるんだ」

 ひたむきに頑張れば、人生は1日で好転する。クルーズは、笑っていた。【鎌田良美】

 ◆ルイス・クルーズ 1984年2月10日生まれ、メキシコ出身。00年にレッドソックス入団。パドレス、パイレーツと渡り、08年にパ軍でメジャーデビュー。ドジャース在籍の12年には78試合で打率2割9分7厘、6本塁打、40打点をマーク。13年7月にヤンキースに移籍したが、同年8月に戦力外。14年来日後は2年間ロッテでプレー。16年からは巨人と2年契約を結んだ。今季2軍で48試合で打率3割5厘、10本塁打、25打点。WBCには06、13、17年にメキシコ代表として出場した。183センチ、95キロ。右投げ右打ち。

 ◆トレード後即出場 直近では05年沖原(阪神→楽天)がトレード後に即出場。6月10日に楽天前田とのトレード成立が発表されると、同日の広島戦に「2番・遊撃」でスタメン。新天地初戦は4打数1安打1四球だった。