阪神俊介8年目初のシーズン複数本塁打「できすぎ」

中日対阪神 6回表阪神1死一塁、俊介は左越え2点本塁打を放つ(撮影・加藤哉)

<中日2-4阪神>◇29日◇ナゴヤドーム

 後半戦初の3連勝と長期ロード連勝発進の扉を開いたのは、阪神俊介外野手(29)だった。6回に均衡を破る先制2号2ラン。プロ8年目で初のシーズン複数本塁打だ。前日28日には今季1号を放った大和が自身で「びっくり」と表現したが、この日の俊介は「できすぎ」。2日連続の驚弾。虎が勢いを取り戻してきたぞ。

 バスに乗り込もうとした金本監督がポンと手を掛けた。俊介の右肩に触れた一瞬が殊勲の証しだ。ナゴヤドームが2日連続で、どよめきに包まれた。5回まで中日先発小笠原に苦戦し、わずか1安打だった。6回1死一塁。フルカウントに持ち込み、6球目だ。足元に落ちるチェンジアップをすくうと白球は高く舞い、左翼席へと吸い込まれた。

 今季2号は値千金の先制2ランだ。指揮官が「あれもまさかと言ったら失礼ですけど、低めの難しい球をうまくすくい上げてね。いい働きをしてくれている」と目を丸くするのも無理はない。プロ通算5本塁打目。6月13日西武戦(甲子園)以来となる「シーズン2本目」は初体験だった。前日28日は同い年の大和が今季初アーチを放っていた。俊介も負けじと3安打していたが、連日の大仕事だ。

 瀬戸際でこそ、心の強さが試される。高山、中谷、横田に追いやられ、昨季はプロ7年間で最少の41試合出場にとどまった。鳴尾浜で2軍暮らしが長引き、若手ばかりが注目される。目立たずとも、地力を蓄えた。2軍首脳陣は口をそろえる。「俊介は、この状況でも、ちゃんと自分のやるべきことをしている。目の色を変えて必死にやっている」。今年2月の沖縄・宜野座キャンプ。軽打にとどまらず、左翼フェンスを越える大飛球を何度も放っていた。いつか訪れる出番を信じて、牙を研いでいた。

 失敗を繰り返さない。6回にとらえた内角低めチェンジアップは4回に空振り三振した球だ。「前の打席にあっさり三振してしまったので、とにかく後ろにつなぐイメージでした。ホームランはできすぎた結果ですが欲しかった点を取れて良かった」。主軸の糸井を欠く後半戦は中堅クラスが奮闘する。金本監督も言う。

 「それは本当に去年になかったもの。去年からすれば大きなプラスアルファ」

 プロの年輪は太い幹になる。チームの底力を示した白星だった。【酒井俊作】

 ▼阪神が夏の長期ロードで連勝発進したのは、07年以来10年ぶり。この年は8月3日からの広島3連戦(広島)に3連勝。これで波に乗り、ロードを12勝8敗1分けの貯金4で乗り切っている。