41歳巨人相川、最年長サヨナラ!60年ぶり更新

巨人対DeNA 9回裏巨人2死一、三塁、サヨナラ打を放った相川(手前中央)を抱きしめる陽(同左)と石川(撮影・横山健太)

<巨人5-4DeNA>◇30日◇東京ドーム

 巨人の「中年の星」が土壇場で輝いた。途中出場の相川亮二捕手(41)が1点を追う9回2死一、三塁、左中間にサヨナラ逆転適時二塁打を放った。サヨナラ打はヤクルト時代の11年以来6年ぶりで、15年の巨人加入後は初。41歳0カ月でのサヨナラ打で、球団の最年長記録を60年ぶりに更新した。チーム最年長の一撃で7月を3連勝で締め、3位のDeNAに4ゲーム差とした。

 プロ23年目のベテランが我を忘れた。二塁付近でサヨナラ勝ちの瞬間を見届けると、相川は思い切り両手を挙げた。笑顔の後輩たちが遠慮なく、襲いかかってきた。ユニホームの上着の裾が出るほどもみくちゃにされたが、それも心地いい。巨人移籍後初の劇的打で、球団の最年長サヨナラ打記録も60年ぶりに更新。お立ち台から歓喜のスタンドを見回し「本当に最高の景色です」と素直な言葉を並べた。

 経験に裏打ちされた読みがさえた。8回に代打で登場し、9回2死一、三塁で迎えた2打席目。相手はDeNA山崎康。「直球から入って、高めの球、外の甘いところにシンカーが来る」と打席をイメージした。高めカットボールは想定内だったが、弾道は想定外の左中間に飛んだ。「1点入れば同点ということしか頭になかった。長打はほとんど頭になかった。こんな結果になるとは想像できなかった。オヤジでもまだまだできるんだぞ、というところを見せたかったのでうれしいです」と笑った。

 7月11日に41回目の誕生日を迎えた。年齢を重ねるたびに肉体の衰えは感じるはず-。誕生日直前、そんな一般的な意見に首を振った。「技術も体力も上がる。諦めたら終わりでしょ」。

 肉体強化だけでなく、地道な鍛錬も怠らない。ベンチを温める機会が多くても、週に2回は試合中の状況を見てはブルペンに向かう。捕手として投手の球を受けるだけではない。投球練習の打席に入り、打者としての目と勘を養う。「中年のおじさんでもプロ野球で頑張ってるって見せたい。年を取ったら辞めなきゃいけないわけじゃない。中年の意地を見せたいと思ってずっと練習している」。コツコツ重ねてきた年輪の深さが大仕事に結びついた。

 高橋監督は「長年の経験、読み。チャンスで積極的に振っていけるのは、そういうところ。勝負強いバッティングだった」と1学年下のベテランをたたえた。3位DeNAに2連勝で、4ゲーム差。加速度をつけて、勝負の8月を迎えられる。【浜本卓也】

 ▼41歳0カ月の相川が逆転のサヨナラ二塁打。巨人で40代選手のサヨナラ安打は15年井端以来4人目となり、相川の41歳0カ月は57年南村の40歳6カ月を抜いて球団最年長記録だ。過去3人はすべて同点の場面から打ち、40代選手の逆転サヨナラ安打は球団史上初めてになる。プロ野球の最年長サヨナラ安打は56年岩本(東映)13年山崎武(中日)の44歳6カ月で、41歳以上で記録したのは11人目。捕手では南海時代の野村が76年に41歳2カ月、77年に42歳0カ月で記録しているが、セ・リーグの捕手では11年谷繁(中日)の40歳9カ月を抜く最年長サヨナラ安打だった。