巨人亀井5安打も9回サイクル諦めた「足遅いから」

5打数5安打6打点と大活躍の亀井は「5」のポーズ(撮影・丹羽敏通)

<ヤクルト3-10巨人>◇1日◇静岡

 巨人の“カメ”は、2打席連続弾で4連勝に乗せた。亀井善行外野手(35)は同点に追いついた5回に3号決勝3ランを決め、7回にもダメ押し2ラン。5打数5安打6打点、三塁打が出ればサイクル安打という大活躍で、チームを今季最多の18安打、同初の2ケタ得点に導いた。借金も3に減らし、5月27日以来の勝率5割も見えてきた。

 右肩が開きそうになるのをこらえて、クルッと回った。亀井は5回2死一、二塁。ヤクルト原樹の食い込んできたカットボールを呼び込み、振り抜いた。イメージ通りの感触をかみしめながら、ゆっくり一塁へと歩を進めた。勝ち越し3ランに「体を開かずにうまく打つことができた。何とか走者をかえしたかった」とうなずいた。

 「カメ劇場 in静岡」は、まだ終わらなかった。7回1死一塁、左腕中沢のスライダーを前打席のように開かず引っ張り、2年ぶりの2打席連続弾を決めた。フィナーレは9回1死三塁、ライナーを右翼線に弾ませた。三塁打ならサイクル安打だったが、一塁を回ったところでスピードを緩めた。「みんなに狙えと言われていたけど足が遅いからないと思っていた。打点がついたし十分」と笑った。

 地道な鍛錬が実った。打撃練習で、投手寄りに少し歩いてから右肩をグッと突き出して打つ練習を取り入れる。「体の開き防止です」。代打で好成績を残していたが、7月からは先発出場が増加。準備の仕方も変わった。毎日結果を出すために、打撃フォームを固める作業を丁寧に繰り返す。「プロは試合に出続けないと。しっかり仕留められたのは、代打の経験が効いているかもしれない」。1打席勝負で磨いた勝負強さに、ボールを呼び込んで打つ技術がかみ合った結果、自身も「記憶にないです。気持ちいい」と驚く5安打の猛打を生んだ。

 11年7月5日ヤクルト戦では、「2番三塁」で先発しながら失策などで2回で交代。苦い記憶しかない静岡で、チームに18安打10得点の4連勝をもたらした。借金も3まで減少。反攻の8月が、カメのバットで幕を開けた。【浜本卓也】

 ▼巨人が開幕94試合目で今季初の2桁得点。今季、両リーグで2桁得点がなかったのは巨人だけで、シーズン初の2桁得点を記録するまで94試合以上かかったのは12年中日(119試合目)以来になる。これまで巨人の開幕から2桁得点なしは、10点以上が1度もなかった1リーグ時代の43年84試合が最長で、94試合目は球団史上最も遅い初の2桁得点試合となった。