阪神岩田が粘りの投球もまさかのドローで自力V消滅

12回、選手交代を告げベンチへ戻る金本監督(撮影・栗木一考)

<広島5-5阪神>◇3日◇マツダスタジアム

 阪神の自力Vが消滅した。3点リードで迎えた9回、ラファエル・ドリス投手(29)が3失点。先発岩田稔投手(33)ら投手陣が踏ん張り勝利目前だったが、終盤にまさかが待っていた。延長12回の末に引き分け、94試合目で苦い夜を迎えた。だが試合は今日4日以降も続く。まだ49試合ある。終わったわけではない。奇跡を目指して、虎よ奮起せよ!

 9回にドリスが3点を失って逃げ切れず、延長12回に及んだ激闘はドローに終わった。痛い痛い引き分けで、自力優勝の可能性が消滅。だが金本監督は「そんなん、別に…」と特別な感想は残さなかった。優勝の可能性が消えたわけではない。ペナントレースをかけた戦いはまだ続く。悲観的な言葉は一切なかった。

 昨年は7月8日に自力優勝の可能性が消滅。リーグ制覇した広島には、7勝18敗と全く歯が立たなかった。今年は1カ月も遅く、現時点で対戦成績は8勝8敗1分けと五分だ。格段にチーム力は上がっている。それでも広島の牙城は容易には崩せない。チーム防御力はほぼ同じ。やはり得点力の差を痛感せざるを得ない。

 阪神が4試合少ないが、チーム得点は「153」もの開きがある。球団首脳は「うちの得点力も上がっているが、それ以上に広島もアップしている。この差を詰めるのは簡単ではない。点でなく、線で底上げしていくしかない」と言う。

 打撃10傑に、広島は4選手がいる。鈴木や丸ら生え抜きの若手だ。その一方で、阪神は原口や高山、北條の伸び悩みが誤算だった。リーグ制覇には、打倒広島は絶対条件だ。球団は超変革路線がファンの支持を得ていると感じ、早々と金本監督に続投を要請。補強だけに頼るのではなく、引き続き、育成に力を注ぎながら、広島に迫るしかない。

 自力Vが消えた一方で、指揮官は今回の敵地3連戦に手応えを感じていた。ドリスが背信投球で3点差を追いつかれた。それでも、投手陣は踏ん張った。「3点差でドリスで勝てなかったのは残念だが、そこから負けなかったのは、僕はそっちの方を評価したい」。

 地元で圧倒的な強さを発揮する広島に対し、1勝1敗1分け。「このスタジアムでカープの勝率を考えれば、この3連戦はよくやったな、というのが正直な感想ですね。相手がどう感じているか分からないが、うちのチームもいいものが出てきている」。首位広島とは10差。だが3位DeNAが1差、4位巨人も5差で追ってくる。残り49試合。可能性がある限り、もちろん首位を追いかける。【田口真一郎】

 ▼阪神は今季94試合目で自力優勝の可能性が消滅した。首位の広島は4日以降、残りの阪神戦8試合に全敗しても、他球団との37試合を全勝なら、最終成績は98勝42敗3分けで勝率7割。阪神は残り49試合に全勝しても、99勝43敗1分で6割9分7厘となり、広島に及ばない。なお金本監督1年目の16年に自力Vが消滅したのは、83試合消化した7月8日だった。