DeNAの“夏男”桑原、M点灯阻止の逆転満塁V弾

2回裏DeNA2死満塁、左越え満塁本塁打を放つ桑原(撮影・鈴木みどり)

<DeNA13-3広島>◇4日◇横浜

 DeNA桑原将志外野手(24)が今季2本目の満塁弾を放ち、広島のマジック点灯を阻止した。2点ビハインドの2回に打ち、逆転V弾となった。チームにとって99年以来の6本目の満塁弾は、桑原の自己最多を更新する12号アーチ。13-3で大勝を収め、首位独走する広島の勢いを食い止めた。

 肩の力を抜き、ゆったりとしたフォームから、自信を持って振り抜いた。打った桑原が見届けた打球は、左翼ポールからバックスクリーンまで赤く染めた左中間スタンドへ飛び込んだ。2死満塁からの逆転V弾。今季2度目の満塁弾で、本拠地に集まった青い歓声に包まれながら、ダイヤモンドを1周した。昨季を上回るキャリアハイとなる12号。打率3割8分9厘だった7月に続いて、横浜の夏男が奮起した。

 負ければ広島のマジックが点灯する一戦。初先発の高橋樹を見抜いた。2球続けてボール球の後の3球目。「初先発だから多少緊張感はあったと思う。1発で仕留められればと思っていた」。136キロの外角低め直球を狙い打ちした。4回には再び右翼線へのタイムリーで、高橋樹を引きずり降ろし、6回にも右翼越え二塁打で、今季11度目の猛打賞。「自分なりに研究して、どんな傾向があるのかとか試合の中でも観察している」。マジック点灯を阻止の裏には、地道な努力がある。

 今季、チームが導入したVRシステム「iCube(アイキューブ)」に毎日取り組んでいる。特殊なメガネをかけ、壁一面の画面を見ると、一室が球場内の打席と化す最新鋭の練習法。「ボールトラッキングシステム」に蓄積されたデータと映像を組み合わせ、リアルに再現される投手の投球を見る。この日の試合前も仮想・高橋樹に「タイミングを合わせた。球種は頭に入っているので」と、専用ルームにこもった。

 チームは8月に入って2勝1分けと負けなしスタート。先頭で引っ張るリードオフマンは、お立ち台では「夏は嫌いなんです」と告白した。「暑いのが嫌いで…」。そんな本音とは裏腹に、成績はうなぎ上り。夏嫌いの夏男が、夏真っ盛りの8月を熱く盛り上げる。【栗田成芳】

 ▼桑原が2回に逆転満塁本塁打。桑原の満塁弾は7月1日巨人戦以来今季2本目で、シーズン2発はチームでは15年筒香以来。桑原は2本とも逆転満塁弾だったが、逆転満塁弾をシーズン2本以上は05年ズレータ(ソフトバンク)以来で、チームでは83年高木豊以来34年ぶり。またDeNAの満塁弾は今季6本目。満塁弾をシーズン6本以上は、72年(7本)88年、99年(9本)に次いでチーム4度目。