巨人阿部失敗恐れず1994安打、見逃さない信念

巨人対中日 3回裏巨人1死二、三塁、阿部は右越えに3点本塁打を放つ(撮影・たえ見朱実)

<巨人8-2中日>◇5日◇東京ドーム

 本拠地での大台到達を視界に捉えた。巨人阿部慎之助内野手(38)が3回に13号3ランを放ち、通算2000安打まで残り「6」とした。この1発に長野と陽岱鋼の本塁打3発で快勝したチームは、プロ野球新記録の6試合連続3本塁打以上を達成。先発した菅野智之投手(27)は、8回を今季最多の12奪三振、7安打1失点で両リーグ最多の12勝目(4敗)を挙げた。

 絶好球を見逃すわけがない。3回1死二、三塁。阿部が中日小笠原を一撃で沈めた。内寄りに甘く入った139キロ直球。本能的にバットが反応した。打った瞬間に分かるライナーが右翼席中段に飛び込む。表情を崩すことなく主砲はダイヤモンドを周回し「1打席目に少し力みすぎた。軽打に徹したのが、いい結果につながった」。5試合連続安打で8月2発目のアーチで大台へ着実に駒を進めた。

 プロ17年目、失敗を恐れずにスイングしてきたから1994本の安打を積み上げてくることができた。今季の50三振のうち、見逃し三振はわずか5つ。今も胸に刻む言葉がある。プロ1年目、当時の内田打撃コーチ(現2軍監督)から「見逃し三振だけはするな」とたたき込まれた。守備のウエートが高い捕手ならではの打撃論だった。見逃し三振を喫してベンチに戻ってくると厳しく叱られた。「当時はどうしても守備のことばかり考えてしまっていた。それを内田コーチに見透かされたと思う」。見逃し三振を人一倍嫌う主砲が、甘く入った絶好球を見送るはずがなかった。

 大台到達が1つ迫るたびに、本拠地ファンの期待も高まっていく。次カードの10日阪神戦までホームでの試合が4戦続く。阿部は「プロに入ってから一番応援してもらった東京ドームで決めたい」。直近の4試合で一気に大台を狙いにいく構えだ。高橋監督も「阿部の記録に対するファンの皆さんの期待で球場の雰囲気も変わっていると思いますし、そういう雰囲気に乗っているところはあると思います」と背中を押した。

 5連勝後の連敗で足が止まりかけたチームを再び前に動かした主砲の1発。ただ、報道陣からの問いかけに、ほぼ無言を貫き球場を後にした。脇目は振らず、まい進する。【松本岳志】

 ▼巨人は長野、阿部、陽岱鋼が本塁打を放ち、7月30日DeNA戦からの本塁打数が3→3→3→3→4→3。6試合連続で3本塁打以上は80年近鉄、87年阪急、91年中日、08年西武の5試合を抜くプロ野球新記録だ。記録開始前の7月29日時点のセ・リーグの本塁打数と3本以上の回数を出すと、広島102本・14回、DeNA79本・7回、中日68本・3回、阪神64本・5回、ヤクルト62本・4回、巨人59本・2回。7月29日時点ではリーグ最少本塁打で3本以上が5月10日阪神戦と6月18日ロッテ戦の2度しかなかった巨人打線が、急に本塁打を量産しだした。