阿部偉業あと4本 勝負強さと屈強な肉体でスパート

1回裏巨人1死一、二塁、阿部は右前に適時打を放つ。投手岩貞(撮影・山崎安昭)

<巨人6-1阪神>◇8日◇東京ドーム

 本拠地での通算2000安打達成に、望みをつないだ。巨人阿部慎之助内野手(38)は大台まで残り6本で迎えた阪神14回戦(東京ドーム)で、先制打を含む4打数2安打。チームを完勝に導くとともに自身通算1996安打に伸ばし、大記録まで残り4本とした。東京ドームでの試合は、今週は今日9日からの阪神戦2試合のみ。上げ潮ムードに乗って、今カード中の偉業達成を視界にとらえた。

 ひと振りで、球場のボルテージを一気に引き上げた。阿部は1回1死一、二塁。岩貞のカットボールが浮いたのを逃さなかった。打球は二塁手の右を鋭く抜いた。2000安打まで残り6本で迎えた本拠地での阪神3連戦の初戦。その初打席で、いきなり先制適時打を決めた。周囲の高まる期待に応え、早々とカウントダウンを刻み始めた。

 1本では終わらない。3回2死一塁での第2打席では右前打でメモリアルムードを一気に高めた。阿部が生んだイケイケムードが打線の背中を押し、打者10人で4得点の猛攻を演出。守備でも4、6回と一、二塁間へのゴロを好捕し、一塁カバーのマイコラスに素早く送球。軽快なプレーで好調ぶりを示し、偉業の早期達成ムードを加速させた。4打数2安打で8回守備から交代。「初回のチャンスで先制点を挙げられて良かった。守備はまぐれです。勝ったのが大きい。打って盛り上がった? ありがたいですね」と感謝した。

 プロ17年目の38歳。期待に応えるスーパーヒーローぶりは健在だ。打棒が振るわなかった7月下旬のDeNA戦の試合前だった。食事をとることなく、フォームチェックなどに没頭し、プレーボールを迎えた。

 勝利をつかむことだけを考えていた試合中、ふと頭の中に浮かんだ。「メシ食うのを忘れてた」。何か口にしようとベンチ裏のケータリングに顔を出すと、そこにあったのは牛丼だった。漫画「キン肉マン」がパワーの源にした一品。プレー中には重たい食事にも思えるが、ぺろりと平らげてグラウンドに立ち続けた。昨オフからウエートトレを重点的に行ってきた。勝負強さと屈強な肉体が偉業へのスパートを支えている。

 残り4本。高橋監督は「何とか2試合、ここで達成してほしい思いがある」と、期待感マックスの東京ドームでの金字塔に背中を押した。本拠地で大歓声に祝福される瞬間が、見えてきた。【浜本卓也】

 ▼阿部が先制適時打を含む2安打を放ち、通算2000安打へあと4本に迫った。巨人在籍時に2000安打を記録した95年落合と11年小笠原が本拠地の東京ドームで達成しているが、巨人生え抜きで達成した川上、長嶋、王、柴田の4人はすべて敵地でマーク。9、10日阪神戦後の巨人は広島戦、ヤクルト戦とビジターが6試合続く。阿部が阪神戦2試合で4本打って、巨人生え抜きでは初の本拠地達成できるか。