西武森、完全復活!今季初打席が適時打「ここから」

1回裏西武2死一、三塁、今季初打席で中前適時打を放つ森(撮影・野上伸悟)

<西武17-8楽天>◇15日◇メットライフドーム

 この男のバットを待っていた。西武森友哉捕手(22)が、自身の“開幕戦”で2安打3打点の大暴れ。チームを3連勝に導いた。この日、左肘骨折から1軍に今季初合流。即「7番DH」のスタメン起用に応えた。1回の適時打が着火剤となり、打線は今シーズン最多の17得点。楽天を首位から引きずり降ろした。貯金は06年以来、11年ぶりの20で、2位まで4・5ゲーム差。若き大砲が獅子に再び勢いを吹き込んだ。

 大歓声が迎え入れた。今季104試合目での“開幕戦”。お立ち台に上がった森の顔には充実感がにじんだ。「めちゃくちゃ緊張しました。連勝を止めないように、という気持ちで試合に臨みました。(歓声には)鳥肌が立ちました」。西武ファンが待ちに待った男が帰ってきた。

 1球目はフルスイングと決めていた。押し出し四球などで2点を先制した直後の1回2死一、三塁。150キロ直球を振り抜き、中前にはじき返した。「強気にいきたかったので。初球からタイミングが合う球は全部振ろうと思っていました」。同点に追いつかれた直後の4回2死一、三塁での2点三塁打も初球。外角148キロを完璧にとらえて左中間を破った一打に「いいところで理想の打撃ができた。逆方向への長打は調子がいいときの打球なので」とうなずいた。

 開幕直後の週末の西武第2球場。リハビリに励む耳に、真横のメットライフドームからデーゲームの歓声が入る。「本当に嫌で…。どうしても焦る気持ちが出ちゃうんですよ」。3月5日のWBC強化試合キューバ戦で受けた死球で離脱。近くても遠い、戻るべき場所。もどかしさと必死に闘った。「(気持ちの)浮き沈みが激しい時期が長かった。100%の力で野球が出来ない経験は今までなかったので。つらかった」。

 周囲のげきが支えになった。星育成コーチからは「回復してそのまま(1軍に)帰るんじゃない。パワーアップして戻らないと」と励まされた。「自分だけの力では無理だったかもしれない。今日もチームの勢いに乗せてもらった。自分だけのヒットじゃない」と感謝を忘れなかった。

 負傷から5カ月。待望のバットが戻ってきた。思い通りにならなかった日々も成長への糧。「いい期間を過ごせた」と振り返られる。「ここから100%、全力を出し切りたい」。ここぞで決める千両役者。フルスイングで、チームを再加速させていく。【佐竹実】

 ▼西武が10年5月5日楽天戦(○19-3)以来、チーム7年ぶりの1試合17得点を挙げ大勝。61勝41敗2分けで06年以来の貯金20とした。これでパは貯金20以上が3チーム。両リーグを通じ、貯金20以上が同日に3チームは06年9月28日のパ・リーグ(日本ハム28、西武26、ソフトバンク20)以来。