西武多和田連続完封、山川が助言ヤクルト伊藤を手本

日本ハム対西武 試合終了後、マウンド上でナインを出迎える多和田(中央)、山川(左)、外崎(右から2人目)(撮影・佐藤翔太)

<日本ハム0-3西武>◇19日◇札幌ドーム

 西武多和田真三郎投手(24)が、球団では08年帆足以来9年ぶりとなる2試合連続完封勝利を飾った。日本ハム18回戦(札幌ドーム)に先発し、121球で5安打無四球。これで7月から自身5連勝となった。決勝本塁打の山川は中部商(沖縄)-富士大(岩手)の先輩。南国沖縄生まれの2人が北の大地で活躍し、2位楽天に1・5ゲーム差と最接近した。

 多和田の球速は最後まで落ちなかった。9回2死一、二塁、この日最速の147キロ直球でカウントを稼ぐと、得意のスライダーで中田を遊飛に打ち取った。「最初は調子が悪かったのでストレートで勝負しようと押していけた。完封よりチームの勝利を第一に考えた」。8回が終わって103球。辻監督は「代わるかと聞いたらニコッとしたから」と続投を決めた。121球は今季最多で、プロ初完封した昨年8月11日日本ハム戦(札幌ドーム)と同じ球数。完封は通算3度目だが、無四球は初だ。

 2軍での経験が生きた。右肩の違和感で4月末に登録抹消。約2カ月間「反復練習してきた」と、低く沈み込むフォームの体重移動を磨いてきた。右スネに土が付くことを好調のバロメーターとする土肥投手コーチは「真っすぐが中盤からうなり始めた。低めも高めも、独特の吹き上がる感じが出てきた。リリースが前で離せている」と絶賛した。

 投球の9割以上を直球とスライダーが占め、重心を低く保つ独特のスタイルだ。お手本はヤクルト伊藤智仁(現投手コーチ)。先輩の山川に昨年「似ている」と言われ動画を検索。「改めて動画を見て、あのスライダーは本当にすごいと思った。強烈でした。真っすぐを磨いて、ああいうスライダーを投げられる投手になりたいと思いました」。くしくも伊藤が初登板勝利を挙げた93年4月、多和田は産声を上げている。

 沖縄生まれだが、暑いのは苦手だ。スムージーを自作し、体力温存を図っている。遠征先で自作は難しいが、朝食では好物のパイナップルと野菜を食べて、ビタミンを補う。湿度が低くて涼しい北海道で、プロ入り後、最高の投球を見せた右腕。上位球団追撃に向け「自分の投球をすれば今後も大丈夫です」と頼もしい言葉を残した。【斎藤直樹】