巨人菅野、最多13勝も足つり降板に「申し訳ない」

足を負傷の菅野はベンチにサインを送る(撮影・中島郁夫)

<巨人6-1DeNA>◇19日◇東京ドーム

 エースの意地だ! 巨人菅野智之投手(27)がDeNA19回戦(東京ドーム)に先発。7回2/3、3安打1失点の好投で自己最多タイの13勝目をマークした。8回2死で右太もも裏をつって不本意な降板となったが堂々の快投劇。3位DeNAとの直接対決でチームを2連勝に導き、クライマックスシリーズ(CS)出場圏内までのゲーム差を3とした。

 不満と手応えが入り乱れた。8回の投球前だった。マウンドの菅野が苦笑いを浮かべた。異変を察知した斎藤投手コーチとメディカルスタッフが駆け付ける。「投球練習の初球でつりかけた。『大丈夫です。ダメだったら自分から言います』と伝えた」。ベンチに素直に意思を示した。代打後藤を2球で片付け1死とすると、倉本を一ゴロでベースカバーに入った際に、自ら両手でバツ印を作り、右足を引きずりながらベンチに引き揚げた。

 エースだから不満が先行した。イニング途中での急きょ降板に「スコット(マシソン)に申し訳ない。次からはないようにしたい」と自分自身を厳しく律した。3位DeNAとの直接対決3連戦。重要度は十二分に理解している。だから「(足がつりそうになっても)それでも投げなければいけない。自分も後悔する」と体にムチを入れてでもイニングを完了させたい気持ちが強かった。

 一方でチームを逆転勝利に導いた事実は揺るがない。最大のヤマ場は1点リードの6回だった。安打と2四球で1死満塁のピンチを迎えた。4番ロペスに対し「誠司と『思い切って内を突っ込もう』と話した」と女房役とイメージを共有した。初球は内角を厳しく攻めて、1ボールからの2球目、ワンシームを引っかけさせて三ゴロ併殺に斬り捨てた。勝負どころでの攻防を「修さん(村田)の好プレーに助けられた。(攻め方は)計算通りです」とうなずいた。

 この日を含め、7試合連続で1失点以内と抜群の安定感を貫く。早くも新人時代の13年に並ぶ自己最多の13勝に到達。チームも3位DeNAに3ゲーム差まで迫り「負けていい試合は1試合もない。その先頭に立っていけるように頑張っていきたい」と、さらなる加速を誓った。エースが鋭い眼光で上位をにらみつけた。【為田聡史】