巨人宇佐見、初先発で特大同点弾も浮かれず守備意識

巨人対阪神 5回裏巨人無死一塁、宇佐見は青柳(手前)から右越えに同点2点本塁打を放つ(撮影・小沢裕)

<巨人6-3阪神>◇25日◇東京ドーム

 「ドラマチックしんちゃん」のバットが止まらない。プロ初先発マスクの巨人2年目、宇佐見真吾捕手(24)が5回、鮮やかな2号2ランを右翼席上段にたたき込んだ。サヨナラ本塁打となった18日のプロ1号に続く1発を号砲に、チームは打者一巡の5得点で劇的な逆転勝利。再び勝率を5割に戻し、Aクラス再浮上に向けて踏みとどまった。

 またしても宇佐見がバットで劇的勝利を描いた。2点を追う5回無死一塁。ベンチから出た「打て」のサインに腹を決め、阪神青柳の内角140キロをたたきつぶした。カーンと響く打球音。特大のアーチが右翼席の上段に飛び込んだ。「小細工をせずに、しっかりスイングしようと思っていました」。この1発で打者一巡の5得点を呼び込んだ。

 先発出場は練習後、クラブハウスで告げられた。練習中には陽岱鋼から「スタメンだぞ」と声を掛けられたが、冗談かと思っていた。正式決定後は「びっくりしました…」と目が丸くなった。捕手として田口と公式戦初コンビを組み、2回までに3失点。それでも、阿部と相川から授けられた「ずっと緊張していけ」という言葉のおかげで我を忘れなかった。3回以降は、直球中心だった攻めを修正。リズムを取り戻し、自身の打席にもつなげた。

 できることに全力を尽くす姿勢が染みついている。本塁打の直後は、ベンチで1軍用に新調したノートにペンを走らせた。「コーチに教わった守備のこと、配球のことを書いてました」。アーチの余韻は即座に忘れ、捕手として次のイニングの守りに意識を向けた。走力はチームでも1、2位を争うほど遅く、送球時の身のこなしに自信があるわけでもない。周囲のアドバイスに真剣に耳を傾け、実行する。2年目らしいがむしゃらな意欲が、活躍につながった。

 お立ち台では、憧れの阿部から「小林を抜くつもりで頑張ってほしい」とハッパを掛けられた。若い力はチームを底上げする。阿部は「別に小林が憎いわけじゃない。やるからにはそうすることがお互いのためになるし、巨人のためになるから」と、後輩2人の上昇を願っている。高橋監督も「流れとか、雰囲気が変わった。いいバッティングだった」と称賛。チームを変えるシンデレラボーイになり得る。【松本岳志】