DeNA3捕手3連続完封 球団初、セ54年ぶり

11回裏DeNA無死、宮崎(中央)はサヨナラ本塁打を放ちナインの出迎えを受ける。右から2人目は山崎康(撮影・山崎哲司)

<DeNA1-0ヤクルト>◇6日◇横浜

 扇の要が3枚も! DeNAバッテリーが3試合連続の無失点リレーを決めた。注目は捕手。3日は高城俊人(24)、5日は嶺井博希(26)、この日は戸柱恭孝(27)と、3日続けて違う捕手がマスクをかぶった。異なる3捕手での3連続無失点リレーは球団史上初めて。2リーグ制以降でも、63年阪神以来となる価値ある記録を樹立した。防御は最大の攻撃なり。延長11回に宮崎敏郎内野手(28)のサヨナラ本塁打で3連勝を収めた。

 高いレベルで3枚の捕手をそろえる-。DeNAの挑戦には、ラミレス監督の哲学が反映されている。「現役時代、グラウンド上の誰よりもキャッチャーを勉強し、分析していた。自分が一番キャッチャーを知っていた」。捕手の傾向を把握し、配球の読み筋を立てて仕留め、強打者へと上り詰めた自負がある。チームを率いる立場となり、経験を逆手に取り、武器にしようと考えた。

 「毎日、同じキャッチャーがマスクをかぶることは、もちろんメリットがある。でも1人のパターンに慣れて、対応される面もある。三者三様なら、相手が慣れることができないメリットがある」

 高城、嶺井、戸柱。持ち味をよどみなく挙げた。「高城は浜口のフォーク、チェンジアップを止める。嶺井はスローイングが速い。戸柱は、与えた情報をモノにする能力が高い…今日は戸柱でいく」。与える情報も自分の経験をよりどころとした。「特に外国人。『こうすれば苦手』というアイデアが浮かぶんだ」。

 ヤクルト打線にあって、1発のあるバレンティンとリベロ。徹底したリードで封じ込めた。30本にリーチをかけ、本塁打王も見えているバレンティンには、ボールを大きく散らして振らせた。リーチの長いリベロは内角高めのつり球を多投。ともに2戦無安打と眠らせた。

 簡単に3捕手が並び立つわけがない。「光山サンが導いてくれている。だから3枚のパターンを持てる」と、バッテリーコーチに感謝した。3捕手と光山コーチはナイター前の午前11時すぎにグラウンドに出て、遠投で風を確認しながら肩を作り、盗塁阻止とワンバウンドの特訓をし、フライを捕球して締める。1時間以上の地道な練習を、1日も欠かしたことがない。

 2年前の123試合終了時点で、暴投と捕逸の合計は70個あった。継続は力で今季は45個。派手なサヨナラがお家芸になったが、防御力にこそDeNAがAクラスにどっしりと居座る理由がある。【宮下敬至】

 ▼DeNAが3日巨人戦から3試合連続完封勝ち。DeNAの3試合以上連続完封勝利は01年6月5~10日以来で16年ぶり8度目。またこの3戦で先発した捕手は、3日高城、5日嶺井、6日戸柱。3試合とも異なる先発捕手で連続完封したケースは、2リーグ制後では63年8月8~10日阪神(戸梶、辻佳、福塚)に次いで54年ぶり2度目。