広島安部が連夜のサヨナラに貢献、首位打者も射程に

広島対阪神 8回裏広島2死二塁、安部は右前に同点適時打を放つ(撮影・栗木一考)

<広島4-3阪神>◇6日◇マツダスタジアム

 サイコーデース! 連夜のサヨナラでーす! 延長11回、1死二塁から会沢翼捕手(29)が右越えに殊勲打を放ち、阪神に逆転勝ちした。8回は安部友裕内野手(28)が同点適時打。前日の逆転サヨナラ打に続く勝負強さを発揮し、勝利への道筋をつけた。広島は5連勝とし、優勝マジックを10に減らした。

 ボールに翼がはえたように、グングン伸びた。今夜のヒーローは会沢だ。延長11回。カープファンの熱意、ナインの執念が会沢のバットに詰め込まれた。打球は右翼糸井の頭上のはるか上。二塁から上本がサヨナラのホームにかえってきた。

 ナインから水のシャワーを浴びせられた会沢がお立ち台で声を張り上げる。 「サイコーでーす! (上本を)何とかかえしたいと思って打席に入りました。1戦1戦、カープらしく戦っていくだけです」。さわやかな笑顔が、カクテル光線に照らされた。

 連夜の劇的勝利。流れをつくったのは、前日5日のヒーロー安部だった。1点差に迫った8回。なおも2死二塁で、マテオの低めスライダーをたたいた。右翼前にライナーではじき返すと、バウンド処理を誤った糸井が後逸する間に三塁を陥れた(記録は適時打と右翼失策)。真っ赤に染まったスタンドが沸いた。

 2位阪神との直接対決。前日の初戦は逆転サヨナラ2ランで大きな流れを生んだ。この日は左腕岩田でも「6番三塁」でスタメン出場。岩田には3打数無安打に抑えられるも、虎のセットアッパーを打ち砕いた。 「覇気です。チャンスで回ってきたので覇気で打ちました」。気持ちで運んだ。

 攻守に安定感を発揮しながらも、常に同じ左打ちの西川との競争に身を置く。厳しい状況にも、決してネガティブな言葉を口にしない。猛暑日に大粒の汗を流しながら「今日は涼しいな」と笑い、連戦続きでも「野球って楽しい」とわざと大きな声を出す。超が付くポジティブ思考は、2年前に2軍で言われ続けた「覇気が足りない」という言葉を自分に言い聞かせているからだ。

 優勝に向かうチームの勢いに乗って、安部は初の規定打席到達だけでなく、首位打者獲得も夢ではなくなってきた。追走する阪神に引導を渡す2連続サヨナラ。優勝へのカウントダウンが始まった。【前原淳】