<広島6-4阪神>◇7日◇マツダスタジアム
連覇へ導く。広島田中広輔内野手(28)が、3点ビハインドの3回に6号2ランを放ち劣勢の流れを変えた。今季初対戦の阪神秋山攻略の突破口を開く1発に力を得た打線が、最多勝を争う右腕を5回でKOし逆転勝ち。2位阪神に3連勝でクライマックス・シリーズ進出を決めるとともに、マジックも8に減らした。最短の優勝は12日。いよいよゴールが見えてきた。
静かに、反撃ののろしを上げた。3点を追う3回。1死一塁から田中が阪神秋山の初球、甘く入ったカットボールをたたいた。夜空に打ち上がった白球が右翼席に吸い込まれると、球場の雰囲気が変わった。歓声が注がれる田中は、表情ひとつ変えずダイヤモンドを1周。「まだ負けている。喜んでいる場合じゃない」。まだ1点差。「一塁走者がKJ(ジョンソン)だったので、入れ替わってもいい。思い切り引っ張ろうと思った。最高の結果になって良かった」。クールな切り込み隊長が一振りで重たい空気を振り払った。
先発ジョンソンが1回に3失点。打線も今季初対戦の秋山に2回まで1安打に抑えられていた。田中の1発で前日まで2戦連続サヨナラ勝利の打線が目覚め、5回に3長打を含む4安打4得点で逆転。最多勝争いに加わる若虎をKOした。
田中は今季も1番として広島打線をけん引する。盗塁ではタイトル争いをリードし、安打や得点でもチームメートの丸とリーグトップを争う。確かな成長を感じさせる働きにも「昨年、1年使ってもらっているから、やらないといけない」と自覚が芽生える。
これまで「超一流の脇役」を目指してきた。元ヤクルト宮本慎也氏のような攻守に堅実なプレーでチームを支えるスタイルを理想とした。昨季の経験から意識は変わりつつある。「自分より若い選手も多くなっているので、引っ張っていかないといけないなと思っています」。立場が田中を変えようとしている。
チームは今季37度目の逆転勝利で阪神に引導を渡した。6連勝で2年連続クライマックスシリーズ進出を決めるとともに、優勝マジックも8にまで減らした。緒方監督は「ホームの独特なムードの中で後押しを受けて選手が乗せられるように、チャンスのところで畳み掛ける攻撃ができている」と打線の成長に目を細める。頂点への道のりは頼れる切り込み隊長が旗手となる。【前原淳】