広島M2“マツダ”で初のビールかけスタンバイ

広島対DeNA 1回裏広島無死、本塁打を放つ田中(撮影・上田博志)

 きょうにも胴上げじゃ~! 広島打線がつながり、14安打12得点で快勝。不調が続いていた菊池涼介内野手(27)が二塁打2本、2打点と活躍。今季初めて早出よりも前に汗を流す早々出に自主的に参加し、1発で答えを出した。2位阪神が敗れたため優勝へのマジックは「2」となった。マツダスタジアムで初の胴上げへ“王手”をかけた。

 ビールかけの会場となるマツダスタジアムの駐車場は、防水カバーが全面にかけられ、投光器がセットされた。スタンドにはファンが掲げる「M2」ボードが左右に揺れている。球場前には試合終了直後から徹夜組。広島の街全体が、今か、今かとそのときを待つ。「1戦、1戦」の緒方カープが、ついに連覇に“王手”をかけた。1回に2点を失うスタートも、試合をひっくり返した。

 田中の先頭打者弾で1点差。さらに2番菊池が左翼線を破る二塁打を放った。「たまたまです」と振り返るが、その後2死から打線が一気につながる。新井の内野安打、安部、岩本の連続適時打で逆転。磯村が四球でつなぎ、中村祐まで内野安打。田中が再び2点適時打で一気に6得点。試合を決めた。

 菊池は2点差に詰め寄られた6回にも無死一、二塁から一塁線を破る2点適時二塁打。直前にバントを失敗し「進塁打を打とうと思っただけ。たまたま」と謙虚だったが、流れを再び手に入れる一打で、この試合2度目の打者一巡を呼び込んだ。ここ2試合は9打数無安打で6三振。状態を取り戻そうと動いていた。

 試合開始の約6時間前。菊池は真っ赤なTシャツに身を包んでグラウンドに立っていた。普段は回復を優先する男が1人、ボールを打ち返していた。早出よりもさらに早い、早々出。自主的に顔を出し、無心でボールを打ち返した。「1時間半、一本勝負!」と汗をぬぐい、ラスト10球をすべてスタンドに放り込んだ。緒方監督も「午前中からバットを振りまくっていたらしいね。悔しさがあるだろうし。レギュラーなので、彼は」と目を細めた。

 菊池が潤滑油になるようにチームは14安打、12得点。優勝へのマジックは一気に2となった。緒方監督は「とりあえず明日、勝たないとゴールテープは切れない。とは言っても変わることなく、我々がやってきた野球をやるだけ。(地元胴上げと)もちろん思っている」と言葉に力を込めた。いざ、37年ぶりの連覇へ。最後まで一丸で、ゴールテープを切る。【池本泰尚】

 ▼広島が優勝へのマジックナンバーを2とし、球団としては79、80年以来37年ぶりのリーグ連覇へ王手をかけた。今日14日のDeNA戦に勝ち、阪神が巨人に敗れると8度目のリーグ優勝が決まる。昨季のリーグVは東京ドームだったが、本拠地Vなら91年以来。優勝決定日では90年巨人の9月8日、昨季広島の9月10日に次ぎ、2リーグ制後3番目に早い日付でのVとなるか。