緒方監督M1「今年も長い」V2は本拠16日決める

DeNAを下し、手をたたいてベンチを出る広島緒方監督(撮影・河野匠)

 広島がDeNAを、ソフトバンクがオリックスを下し、ともにマジックを「1」とした。両球団ともに今日15日は試合がなく、明日16日にリーグ優勝の可能性がある。同日優勝なら58年の巨人と西鉄に次いで59年ぶり。2連覇に王手をかけた広島は、明日16日からは本拠地ヤクルト2連戦。自力で決め、赤く染まるマツダスタジアムのデーゲームで、緒方孝市監督(48)が舞う。

 スタンドを真っ赤に染めた3万2324人が、マツダスタジアムで巨人を応援した。大型ビジョンに甲子園の映像が映し出され、実況まで流れた。1球ごとに一緒になって一喜一憂。延長11回の巨人村田の左翼への大飛球には、スタンド全体が立ち上がったほど。だが、延長12回表、巨人の攻撃が終わると、この日の優勝が消えた。ビジョンの放送も終了した。「M1」。ナインは一塁側ベンチから出て、一列になってファンにあいさつした。緒方監督は「なかなかないね。何ともいえない時間だった」と苦笑いを浮かべた。

 91年以来の本拠地胴上げを狙う大一番。執念を結集した勝利だった。緒方監督は「本当にすごい試合で。ひっくり返されても最後まで諦めずに、今年のうちらしい試合を、そのままやってくれた」と目を細めた。リードしては追いつかれる苦しい展開。2回にマツコこと松山のソロ、バティスタの適時打で2点を先制。ところが、先発ジョンソンが粘れず、3回に3失点した。それでも3回に松山が同点適時打を放つと、4回にはバティスタが右中間スタンドに運んだ。7回に追いつかれるも、8回にバティスタの犠飛で再びリード。日替わりヒーローで、接戦をものにした。

 この日の球場入りの際、緒方監督は「やっぱり長いよな。去年もそう思ったけど、今年も長いと感じる」と戦いの日々を振り返った。チームは日々成長を遂げてきた。3打点のバティスタは育成選手。松山も右投手専用の日替わり打者にすぎなかった。活発な競争で新しい戦力が次々に芽を出した。最後まで諦めず、攻め続ける広島の野球を展開してみせた。

 M2から一気の優勝はならなかった。それでも、ゴールテープは目前だ。むしろ阪神の勝敗にかかわらず、勝てば優勝する権利を手に入れた。「次勝てば、自動的に決まる。またうちらしい試合を、明後日ヤクルト戦に向けて準備していく」と緒方監督。自分たちの手で、自分たちの野球で。明日、37年ぶりの連覇を決める。緒方監督が、広島の空に舞う。【池本泰尚】

 ◆同率なら広島V 16日に広島●、阪神▲の場合、ともに83勝56敗4分けで終える可能性はあるが、広島の優勝が確定する。勝率、勝利数が並べば、規定により直接対決で勝ち越した広島がVとなる。