巨人畠の強さパワー源は反骨心、筒香だって怖くない

巨人対DeNA 5回裏巨人1死満塁、プロ初安打となる中前適時打を放つ畠。投手加賀(撮影・江口和貴)

 巨人が3位を守った。ドラフト2位ルーキー畠世周投手(23)が、7回2安打の快投でDeNAを無失点に抑えた。筒香とロペスをともに無安打に抑え、DeNA戦は3戦3勝で、通算6勝目を飾った。5回1死満塁の場面では、中前へプロ初安打&初打点となる適時打もマーク。クライマックスシリーズ(CS)出場権を激しく争うDeNAとの直接対決最終戦で、新人右腕がキラリと輝いた。

 プレーボールと同時に最大限の力を発揮した。畠が左足を上げて投球動作に入る。DeNA先頭桑原への初球。この日、最速の151キロ直球を突き刺した。「初回から飛ばしていこうと。飛ばして、終盤は粘ろうと思っていた」。目の前の勝負に全力を注ぐスタイルを確認するように投げ込んだ。2死後、筒香を全球直球勝負で空振り三振に斬り捨てた。相手打線を圧倒し続けてつかんだ6勝目に「負けられない戦いなので『やってやるぞ』という気持ちで投げました」と胸を張った。

 大一番での快投劇は、チームの信頼度と並行して知名度も急上昇させている。9月上旬、母芳恵さんの51歳の誕生日プレゼントを買うために原宿に向かった。お目当てのブランドもののバッグを購入し、寮へと帰る新宿駅のホームで“プロ入り初”の体験が待ち受けていた。中年男性からいきなり腕をつかまれ、恐る恐る振り返ると「畠君だよね! 巨人ファンだから。頑張って」と声をかけられた。「うれしい半面、ちょっと恥ずかしかったです」と、多少困惑しながらも胸が高ぶった。

 この日も新たに“プロ入り初”を生み出した。4点リードの5回1死満塁。加賀の高めに浮いた135キロ直球を中前にはじき返し、プロ初安打が初適時打となった。通算24打席目で飛び出した一打に「いつも木村コーチが投げてくださって、その成果が出てうれしかった。やっと1本出ました。本当にナイスバッティングです」と自画自賛した。

 破竹の勢いで巨人投手陣の柱の1人にまで急成長した。ことあるごとに口を突くのは「同期には絶対に負けたくない」という反骨心。相手投手が同じルーキー浜口となれば燃えないはずがない。「先に(マウンドから)降りてたまるか」と頼もしかった。チームの11年連続のCSは、畠にとっては“プロ入り初”となる。残り12試合。全力で次のステージを目指す。【為田聡史】

 ▼ルーキー畠が6勝目。畠の6勝はすべて後半戦に記録しているが、セ・リーグで後半戦6勝は薮田(広島)菅野(巨人)マイコラス(巨人)に並んで最も多い。これでDeNA戦は3戦3勝となり、対筒香は8打数1安打、5三振の打率1割2分5厘、対ロペスは9打数0安打。筒香から5奪三振は菅野と大野(中日)に並び最多で、ロペスと8打数以上対戦し無安打は畠だけ。両選手と8打数以上対戦してともに打率2割未満は畠しかおらず、ルーキーがDeNA自慢の2人を完璧に抑えている。