代打送られてもキレずに行動で示した/菊池涼介手記

8回、菊池の決勝ホーム(撮影・清水貴仁)

 優勝決めたVホームイン! 最高です! 広島菊池涼介内野手(27)が18日、日刊スポーツに手記を寄せた。WBCに参加した影響もあり、打撃不振に苦しんだシーズン。代打を送られ、キレそうになった気持ちをつなぎ留めた夜-。そして翌日にとった行動とは…。タナキクマルの結束、日本一への意気込みなど、たっぷり語り尽くした。

 みんなの最高の笑顔を見られて、とてもうれしかった。僕たちには初の連覇で、全然違うプレッシャーもありました。去年はよく分からないけど、とにかく走るみたいな感じ。でも今年は勝つっていうのが当たり前のチーム、雰囲気になって。経験もあって危機感もあって。それがまたしんどかった。また違ういい経験ができた。決勝のホームまで踏めた。最後はウイニングボールが飛んでこいって思ってたけど、また(田中)広輔が捕って。ちくしょーって、ちょっぴり悔しかったですけど(笑い)。でもやっぱり優勝って最高です。

 僕自身はしんどいシーズンでした。足の不安や突き指もありましたが、それ以上に体が言うことを聞かない。自分の感覚じゃない感じで…。不眠症で2時間も寝られない日もあったかな。体じゃなくて、脳内にヒシヒシ来るのがつらかった。一生抜けないんじゃないかなという不安もあります。特に打撃は好不調の波がひどい。良いときは体が軽いけど、悪いときはすごく重くて。打てなくて焦ってという悪循環。これを経験にして成長しないといけない。今季はみんなに助けてもらいました。

 代打を送られたこともありました。正直複雑な思いもありました。交代を告げられて、ベンチ裏に行こうとした。でも「ダメだ」って思って。(代打の)岩本さんの打席を見て下がった。昔の僕ならそこで気持ちも切れてたかもしれない。でもその日に(ヘッドコーチの)高さん、(前監督の)野村謙二郎さんから電話をもらって。(打撃コーチの)迎さんとは1時間半くらい部屋で話をしてもらった。次の日の行動を「見る人は見ているよ」って。それで多少は消化できた。雰囲気つくろうって次の日(9月1日)の神宮でまっちゃん(松山)にヤクルトを飲ませたんだけど。それが出来たのも、皆さんのおかげです。

 それはタナキクマルの約束でもあったから。いろんな人から「思っている以上に影響力あるよ」って言われてて。3人でシーズン途中で話した。バット投げたり、判定に文句言ったりする選手もいるけど「俺らはやらんとこうな」って。見てる人は見てるって。心に決めたことだから。そこには、去年出来上がったタナキクマルの信頼関係がある。助け合いもある。言わなくても分かる部分もあるから。いつも通り「よっしゃ、今日も頑張るぞ」って。そういう雰囲気作りは、タナキクマルでやってきたところでもあります。

 本当にいいチームだと思います。一気に飛び級してきた感じ。今日も安部がマウンドに行ってたし、(田中)広輔も守備中にマウンドに行くようになった。去年の優勝と自信で、そういう空間になったんだと思います。そして何より雰囲気。暗いのが嫌で、入団した頃から変えたいなって思ってきた。怒られないかなとか、ギリギリのところで新しいチャレンジをして、浸透してきて。自分の成績も伴わないと何やっているんだってなる。そこを積み重ねてきてよかったです。

 僕たちは連覇はひとつのノルマを達成しただけだと思っています。やっぱりその先の日本一。去年の悔しさがあります。CS、日本一を目指して。僕自身も上げていけるように、ここからもチーム一丸で戦っていきます。(広島東洋カープ内野手)