大谷メジャー前で不満「締めくくる」次日本ラス投か

日本ハム対ソフトバンク 3回表ソフトバンク2死二、三塁、デスパイネを三振に打ち取り雄たけびを上げる大谷(撮影・黒川智章)

 日本ハム大谷翔平投手(23)が、リーグ制覇したソフトバンク打線を封じた。今季4度目の先発登板は、最多の108球を投げ、6回5安打1失点で2勝目。全体の4割近くがスライダーという変則的な組み立てで、毎回の9三振を奪った。「いいところはほとんどなかった」と、本人にとっては不本意な内容だったが、最速は162キロを記録。チームを勝利に導いた。バックネット裏にはメジャー17球団が集結。今オフにポスティング移籍する意思は固めており、次回登板が日本ラストとなる可能性もある。

 喜びに沸くスタンドとは対照的だった。6回2死満塁のピンチを9個目の三振で脱した大谷は、無表情のままマウンドを降りた。「いいところはほとんどなかった。自分の目指している内容とは違う」。今季最多の6回108球を投げ、ソロ本塁打の1失点のみ。2勝目に値する数字は並んだが、試合後も言葉は弾まなかった。

 全体の4割に近い、39球がスライダー。この日最速の162キロをマークした3回2死二、三塁のデスパイネの打席でも、最後は138キロのスライダーを勝負球に選択した。「2つの球種で前半はいこうと思った」。曲がりが鋭く、速球とのコンビは効果的だったが、「フォークをもっと使えればよかった」。中盤以降は理想通りに進まなかった。「ほぼ真っすぐとスライダー。じゃんけんみたいなもの。駆け引きはほぼない」と反省した。

 ネット裏には、17球団のメジャースカウトが集まった。故障の影響で登板ができなかったこともあり、今季は打者大谷の評価が上がった。しかし、DHでの出場が続いても、ベンチに座る大谷の右手には、いつもボールが握られていた。ブルペン投球すらできなかった春先も、月間打率3割8分9厘と打ちまくった8月も、唯一無二の「二刀流」として、投手での復帰を目指してきた。

 だからこそ、理想も高くなる。今オフにポスティングシステムを利用してメジャーに挑戦する意思も固めている。次回登板が、ラストマウンドになる可能性もある。「楽しみにしてくれる人のためにも、しっかりと締めくくるような投球ができれば」。自身の夢を追い、ファンに夢を届けてきた大谷だから、最後は笑顔で終わりたい。【本間翼】