巨人5点差逆転!江藤コーチがギルメット攻略法伝授

ヤクルト対巨人 7回表巨人2死、亀井は中越えソロ本塁打を放つ(撮影・松本俊)

 由伸政権2年目で初の大逆転勝利だ。巨人は3回までに0-5と劣勢も5回から反撃。1点差の7回、亀井善行外野手(35)が史上初の1万本塁打に王手をかける球団通算9999本塁打で同点。8回にケーシー・マギー内野手(34)が決勝打を決めた。5点差以上の逆転勝ちは15年8月30日中日戦以来で、高橋由伸監督(42)が就任してから4点差以上の逆転勝利は初。2夜連続の逆転勝利で3位DeNAに1・5差と食らいつき、11年連続の逆転CS進出に望みをつないだ。

 三塁側ベンチから野太い、大きな歓声がわき起こった。5-5の8回1死三塁、マギーの打球が前進守備の一、二塁間を破ると、巨人ナインが身を乗り出して太い腕を振り上げた。マギーは「ヒット・ハード(強くたたくことが)できたよ」と分厚い胸を張った。大劣勢をはねかえし、就任2年目で初の5点差以上での大逆転劇で2連勝。高橋監督も「粘り強く、何とかギリギリでひっくり返してくれた」と息をついた。

 あきらめる者は、だれもいなかった。3回に5点を先制された直後の4回表の攻撃前。ベンチ前に選手の輪ができた。中心では江藤打撃コーチが口角泡を飛ばした。右腕を深く下げてから振り上げるギルメットの独特な投法の、タイミングの取り方を再確認。全員で気持ちを奮い立たせた。5回に阿部と村田の連続適時打で3得点。走者が生還するたびに、ナインが腰を上げて拳を交わした。巨人の進撃が始まった。

 メモリアル王手弾が、ムードを一気に引き上げた。1点差の7回2死、亀井が近藤の初球ストレートを思い切り振り切った。願いが乗った打球はギリギリでバックスクリーンへと飛び込んだ。同点の8回には、先頭の橋本到がセーフティーバントを転がし、必死に一塁を駆けた。捕逸で無死二塁から、陽岱鋼は二ゴロで進塁打。ベンチの仲間からハイタッチで迎えられた。適時打もすべて逆方向。勝利のためだけに、チームが1つになった。陽が「ベンチも含めて全員で戦っているし、自分もできることをやりたい。残り少ないけど、全員で戦っていきたい」と言えば、マギーも「1人1人後ろにつなぐ意識は共有できた」とうなずいた。

 DeNAとの差は1・5のまま、残り5試合。亀井は「DeNAの結果はみんな気にしている。だからこそ勝たなければいけない」と代弁した。指揮官も「負けてしまうと離されるだけだから、何とか勝たないといけない」と結んだ。大逆転でのCS進出へ向け、総力を結集して突き進む。【浜本卓也】