「慶大のエルドレッド」岩見ドラ1弾!由伸超え宣言

法大対慶大 4回裏慶大無死、2試合連続の本塁打を放つ岩見(撮影・中島郁夫)

 今秋ドラフト上位候補の右の大砲が猛アピールだ。慶大・岩見雅紀外野手(4年=比叡山)が、法大との3回戦で2試合連続本塁打となる今季3号ソロを放ち、9-5の快勝に貢献した。リーグ通算17号は、慶大・大森剛(元巨人)らに並ぶ歴代8位タイだが、2年秋に1号を放った遅咲きは、トップ23号の慶大・高橋由伸(現巨人監督)を上回るペースで量産中だ。チームも1勝1敗1分けに戻した。

 岩見の打球が珍しい方向へ放物線を描いた。2点リードの4回、先頭打者で2球目の直球を右中間へ運んだ。リーグ2本目となる逆方向への1発だ。23日の1回戦で4打数無安打に抑えられた法大・菅野から「うまく対応できた」と能力を示した。21世紀の打者初のトップテン入りとなる通算17号に「素直にうれしいです」と笑った。

 驚異的なペースで本塁打を積み上げている。2年春から出場し同秋に1号を放ってから、3・2試合に1本打ってきた。一方、歴代1位の高橋は4・4試合に1本。2年秋からの比較では、岩見が17本で高橋は15本と上回る。今季も6試合で3号。5安打のうち半分以上が本塁打だ。

 慶大の練習場には、右翼の「由伸ネット」に対し、左翼に「岩見ネット」があり、打球が越えないようにしている。左中間方向には今春、保育園が開園した。迷惑をかけないように、春季リーグ後にネットを高くするなど増築したが、その前はバックネットぎりぎりから打撃練習していた。

 187センチ、107キロのスラッガー。大久保秀昭監督(48)が「岩見は散々、近所の家に迷惑をかけてきた」と苦笑いするパワーは規格外だ。リーグ開幕2日前のリーグ懇親会で、岩見は「10本打って記録を塗り替えたい」と高橋超えの24号を宣言。20年ぶりの快挙は少しずつ夢物語でなくなってきている。

 左翼手の長距離砲などの共通点から広島苑田スカウト統括部長は「慶応のエルドレッド」と評したことがある。この日も熱視線を送り「言うことない。1位でも恥ずかしくないんじゃないかな」と上位候補とした。

 7季ぶりの優勝を目指す慶大は、ここまで2カードとも3試合以上ともつれているが、「試合が多くできて、みんな日に日に成長できている」と岩見。マークが厳しくなる中で打ち続け、高い成長力を証明している。【石原正二郎】

 ◆岩見雅紀(いわみ・まさき)1994年(平6)7月10日生まれ。比叡山では甲子園出場なし。1浪して慶大総合政策学部に入学。背番号「13」は憧れのアレックス・ロドリゲス(元ヤンキース)から。侍ジャパン大学代表で今夏のユニバーシアード競技大会金メダル。187センチ、107キロ。右投げ右打ち。