巨人3位に0・5差!村田弾&イチマンゴー中井猛打

ファンの声援に応え球場を後にする巨人村田(撮影・横山健太)

 巨人が濃厚な4連勝でCS争いを大混戦模様に描き出した。中日戦で村田修一内野手(36)が5回に先制12号ソロ。投げても先発マイコラスが中4日登板ながら9回途中まで139球を投げ、1失点の好投で接戦を制した。前夜は球団史上初の1万号本塁打を達成。フロントから高級マンゴー1個(イチマンゴー)と粋なプレゼントも贈られ、一体感も上昇した。「フルーツバスケット状態」のCS争いで大逆転進出を決めてみせる。

 決して甘くない球を、村田が難なく平らげた。5回、中日小笠原が投じた地面スレスレに曲がってきたカーブを完璧にすくい上げた。打球がバックスクリーンにギリギリに入ったのを確認すると走る速度を緩め、先制弾の味をかみしめた。「最近フェンス30センチ(届かない打球)が多かったから、どうかなと思った。低めのボールを上手に運ぶことができた」。0-0の均衡を破った12号ソロを満面の笑みで振り返った。

 試合前から、勝利を予感させるスイーツな雰囲気に包まれていた。ミーティング前のロッカー室に、巨人久保会長が小さな箱を持って登場。前夜に史上初の球団通算1万号本塁打を放った中井を目の前に呼んだ。

 「1万号だから、1マンゴーです」と千疋屋の高級マンゴーを手渡した。ダジャレの利いた“記念品”贈呈。首脳陣やナインから拍手と笑い声が飛び交った。久保会長は「値段? 1マンゴー千円(1万5000円)以上かな」とニヤリ。負けられない一戦を前に、ムードが一気に高まった。

 序盤は渋味のある投手戦となった。だが今季は球団ワーストの13連敗など、厳しい風雨に耐えてきたナインには粘りがあった。“マンゴー中井”は今季3度目の3安打でチャンスメーク。「びわが好きですね。僕に高級なものは似合わないでしょ」と話す“びわ村田”の一撃で先制し、6回には1月のグアム自主トレ中に連日パイナップルをほおばった“パイン阿部”が追加点をたたきだした。色とりどりの豪華なジャイアンツフルーツが、それぞれの果汁100%を絞り出した。

 残り3試合。2位阪神から4位巨人まで混迷を極めてきた。中井は「会長には食べるまでに3、4日、寝かしてくれと言われました。会長が食べ頃は中井と一緒と言っていた? 僕にはそんなに寝かせている時間はありません」。村田も「ここまできたら技術どうこうじゃない。ここに来てチーム力も上がっている。勝てる方向にベストを尽くすだけ」と熱かった。勝負どころのシーズン終盤で、ようやく、球界の王様こと“ドリアン巨人”が完熟期を迎えた。【浜本卓也】

 ◆マンゴー ウルシ科マンゴー属の常緑高木。インドからインドシナ半島周辺が原産地とされる。500以上の品種があるとされるが、日本で栽培されるものは、通称アップルマンゴーとよばれるアーウィン種がほとんど。