広島西川、CSへ三塁奪取だ 安部離脱の穴埋める

試合が中止となり、室内で打撃練習をする西川(撮影・奥田泰也)

 広島西川龍馬内野手(22)が三塁の定位置奪取を狙う。今季三塁最多出場の安部友裕内野手(28)が「右ふくらはぎ打撲箇所の血腫除去」で26日から離脱。売り出し中の2年目は、空席となったポジションを埋めるだけでなく、ポストシーズンの切り札として大きな期待がかかる。レギュラーシーズン残り3試合で結果を残し、昨年3打数2安打と活躍したポストシーズに弾みをつけたい。

 千載一遇のチャンスにも、クールな表情を崩さない。安部の離脱で期待と責任が増す西川は、いつものマイペースを貫いた。屋内練習場での調整後、報道陣の質問にも冷静に、ときに笑みを浮かべながら、意気込みを語った。

 「(安部さんは)一緒にサードでやって来た先輩。気持ちはだいぶ(分かる)。時期も時期なので、安部さんはつらいと思う。自分も(戦列を離れたのは)開幕時期だったのでつらかった。今は野球ができている。感謝しながらプレーしたい」

 西川も今季、負傷離脱を経験した。3月11日ヤクルトとのオープン戦で自打球を当て「右膝の骨挫傷」と診断された。野球ができない時間は「おもんない」日々だった。あの苦しみを乗り越え、今がある。巡ってきたチャンスは逃さない。

 今季は打撃3部門の多くで昨季を上回り、出場試合も打席数も最多を更新した。打率2割7分は上々の数字だが、本人は納得しない。「恥ずかしい。あまり見たくない」。下降気味だった調子は上向き傾向にある。「基本的に人より多く振ろうと思っている」。普段は、努力する姿も言葉も隠そうとする。思わず出た言葉に「1人で打ち込みたい。マシンに負けないように」と苦笑いでごまかした。

 昨季のポストシーズンも限られた打席で結果を残した。CSでは1打席も、打率10割。日本シリーズは2打数1安打で打率5割だ。「CSに向けていい感じに終われれば、いいイメージを持って臨める。3試合ズルズル終わると、気持ちの面で余裕がなくなる」。27日の本拠地最終ヤクルト戦は雨で中止となり、今日28日に順延。レギュラーシーズンの残り3試合も貪欲に結果を求める。

 緒方監督は「みんなでカバーしてやっていくしかない」とチーム一丸を求めた。誰もが認める打撃を武器とする22歳が、日本一奪取の旗印になる。【前原淳】