日本ハム近藤復帰即マルチ!来季完全復活へ視界良好

1回裏日本ハム1死、左前打を放つ近藤(撮影・黒川智章)

 4割打者が最高のカムバック劇だ。6月末に腰を手術した日本ハム近藤健介捕手(24)が、28日楽天戦(札幌ドーム)に「3番DH」で先発復帰し、復帰即2安打を放った。8回には同点につながる二塁打を放ち、今季5度目のサヨナラ勝利に貢献。腰部椎間板ヘルニアの手術を受け、今季中の1軍復帰は厳しいとみられたが、快調な回復で約3カ月半ぶりに舞い戻った。来季の完全復活へ、視界は完全に開けた。

 4割打者の技術は、さびついていなかった。近藤は、故障明けでも近藤だった。松本の同点ソロ直後の1回1死。「久々の札幌ドームで緊張はあった」。カウント1-1から3球目、楽天岸の直球に振り遅れて空振り。さすがに力みもあったが、スイングしたことでズレを修正。4球目は直球をファウルし、5球目のカーブを左前に運んだ。「1本出てくれて、その後はすんなり試合に入れた」。

 1点を追う8回も、試合の流れを感じながら狙い通りにチャンスメークした。「シングル(安打)やフォアボールではなく、長打を」と、先頭打者として右中間へ二塁打。同点の起点となり、9回の劇的勝利へつなげた。13日に2軍戦で復帰したが、打撃の感覚はイマイチだったという。1軍のしびれる緊張感に触れたこの日は「良かった時のボールの見え方や(体重移動時の)軸足の乗り方だった」。離脱前に打率4割7厘を誇った巧打者は、約3カ月半のブランクをあっという間に埋めた。

 舞台裏でも、何も変わらない姿でチームメートに再会した。遠征先の大阪から移動してきた中田には「お久しぶりです」と、笑顔でひと言。チームを離れる前と同じように自然体で再合流した。試合後も反省をしながらのティー打撃をする姿は以前と同じ。変わらぬルーティンで、球場を後にしたのは午後11時前だ。

 6月末に腰部椎間板ヘルニアの手術を行い、実戦復帰までは約3カ月の見通しだった。リハビリ期間は再発防止のために体幹を鍛えることを重視。驚異的な回復力も手伝い、周囲の今季絶望の見立てを覆した。栗山監督が「もう(鎌ケ谷へ)返してもいいかな」と冗談交じりに話すほど、打撃感覚が衰えていないことを、たった1試合で証明してくれた。近藤は「来年につながるように」と、貪欲に、まだまだ結果と実戦感覚を欲する。試合後の打率は4割9厘。きっちりと上げて、未来へ光を差した。【木下大輔】

<日本ハム近藤の今季道のり>

 ◆開幕スタメン 3月31日西武戦(札幌ドーム)に「5番右翼」で3年連続の開幕先発メンバー。

 ◆連続出塁 4月29日楽天戦まで開幕から全24試合連続で出塁。

 ◆球団新 6月1日DeNA戦で出場47試合で打率4割1分5厘を維持。2リーグ制後、47試合以上で打率4割以上は11人目。日本ハムでは日拓時代の73年張本の46試合を上回り球団最長だった。

 ◆抹消 6月4日阪神戦を右太もも裏の張りのため欠場した。以降、代打出場したが、打率4割以上をキープしたまま同11日に出場選手登録を抹消された。

 ◆手術 6月22日に札幌市内の病院で腰部椎間板ヘルニアと診断され、同28日に徳島県内で手術を受けた。

 ◆辞退 7月4日、球宴に選手間投票で初選出されたが辞退。

 ◆実戦復帰 リハビリを経て、9月13日のイースタン・リーグ巨人戦で実戦に復帰した。