エースで4番大谷完封!リアル二刀流日本編「完結」

日本ハム大谷翔平

<日本ハム3-0オリックス>◇4日◇札幌ドーム

 5年目で初めての「4番投手」で臨んだ日本ラスト登板を、日本ハム大谷翔平投手(23)はひとりで投げ抜いた。今オフにポスティングシステムを利用してメジャー挑戦する意思を固めている大谷が4日、オリックス25回戦(札幌ドーム)に先発し、2安打、10奪三振で今季初完封勝利を飾った。バットでも4回に中前打を放ち、先制のホームを踏んだ。9日のシーズン最終戦(対楽天、Koboパーク宮城)で打者出場する見込みだが、リアル二刀流と投手・大谷は日本では見納めになりそう。本拠地ファンは夢のひとときに酔いしれた。

 終幕のときを、マウンドで迎えた。今オフのメジャー移籍が濃厚な大谷が、日本ラスト登板を完封勝利で飾った。「ちょっと疲れましたけど、最後までいけてよかった」。意地だった。リアル二刀流では最多の124球。9回は2四球で1死一、二塁のピンチとなり「イライラしていた」が、最後は併殺で締めた。

 壮大なスケールで描かれてきた感動と興奮の物語が、日本での完結を迎えた。「4番・投手大谷」。入団時から目標にしてきた「エースで4番」が最後に形となった。4回の中前打が先制点の起点となり、奪った得点を最速162キロの速球とスライダーのコンビネーションで守った。今季最終戦となる9日楽天戦(Koboパーク宮城)で打者出場する見込みだが、登板は見納め。最終回には地響きのような歓声に後押しされ「もっと多くこういう投球ができればよかった」。感謝と謝罪を口にした。

 当初は逆風にさらされた二刀流を、1度も諦めることなく、パイオニアとして突っ走ってきた。肉体はたくましさを増し、投打でスケールアップ。故障に泣いた今季も、メジャーで勝負するための大事なスキルを身につけた。

 大谷の最大の武器は、絶対に諦めない精神力だが、もろ刃の剣でもあった。結果的に3カ月近く離脱することになった4月の左太もも裏肉離れの重傷も、足を引きずりながら下がったベンチ裏で、「大丈夫ですよ」とダッシュの動作を繰り返し見せていたという。

 そんな大谷が、9月27日オリックス戦で「足がつりそうになった」と自ら申し出た。栗山監督は「自分で確認できるようになったことはよかった」と言った。監督、コーチ、トレーナーらが細心の注意を払いながら進めてきた二刀流。だが海を渡れば、すべて自分で判断し、歩まなければいけなくなる。冷静な目でブレーキをかけてくれる人は、新天地には誰もいない。その不安要素を、自身で乗り越える力を手にした。

 大谷 てっぺんは見えてないですし、自分の限界はわからない。次のステップに向かって、1つ1つつぶしていければいいと思います。

 大谷の二刀流は、5年間で世間の常識を変えた。夢への道は、まだ続く。世界を変える挑戦が始まる。【本間翼】