西武源田、新人4人目 遊撃手初のフルイニング出場

西武対日本ハム 1回裏西武無死二塁、源田は右適時三塁打で、勢いよく二塁ベースを蹴って三塁に向かう(撮影・松本俊)

 シーズンを走り抜いた。西武源田壮亮内野手(24)が新人では56年ぶりとなる全試合フルイニング出場を果たした。トップと2差としていた盗塁王こそ届かなかったが、初回に適時三塁打を放ち、ルーキーでは59年ぶりの10三塁打を達成。歴代3位の155安打で1年目のレギュラーシーズンを終えた。14日から始まるクライマックスシリーズ(CS)ファーストステージでも不動の遊撃手として、日本一を目指す戦いに臨む。

 源田の表情には充実感がにじんだ。1年目から遊撃手として全143試合にフル出場。「終わったばかりで実感はないですが、達成感はあります」。試合中の引き締まった顔から打って変わり、初々しい笑顔でうなずいた。

 初回の一打に、らしさが凝縮されていた。3点を先制された直後の1回無死二塁。初球を振り抜き打球は右中間を抜けた。快足を飛ばし、今季10本目の三塁打。盗塁リーグトップの日本ハム西川と2差で迎えた最終戦。二塁で止まれば盗塁のチャンスも生まれたが「一切考えなかったです」。勝利を最優先するからこそ、続く秋山の打席の暴投で2点目のホームを踏めた。

 プロとして初めて挑んだシーズン。当然、体力的にも精神的もきつい時期はあった。「夏場はしんどかったですし、後半戦は順位がかかった緊張感がありました」と明かした。それでもレギュラーに新人もベテランもない。託された役割を果たすため、真正面から向き合った。

 疲労の蓄積とともに打撃の精彩を欠き始めた終盤戦。9月16日ソフトバンク戦からバットを替えた。「力まずにヘッドを走らせられる」とこれまでよりグリップが太く、重心が先にあるモデルに変更。重さも約20グラム重い900グラムあるが、「上半身で無理やり振っていた状態」をあえて重くすることで打開した。下半身をしっかり使うようになり、体調が万全だったころのスイングを取り戻した。替えてからの14戦の打率は3割2分8厘をマークした。

 2リーグ制以降、新人では史上4人目のフルイニング出場。新人記録を次々に更新する活躍をみせたが「全部出来すぎ。自分でもびっくりしてます」。源田にとって初めてのシーズンは、ここで終わりではない。だからこそ「まだ振り返られないです」と言い切った。次の舞台はCS。「シーズンと変わらず、チームのために仕事をしていきたい」という目は力強かった。【佐竹実】

 ◆源田壮亮(げんだ・そうすけ)1993年(平5)2月16日、大分市生まれ。大分商から愛知学院大に進み、1年で神宮大会準V、4年で大学選手権4強。トヨタ自動車では16年都市対抗でチーム初優勝に貢献し、同年ドラフト3位で西武入団。3月31日日本ハムとの開幕戦で、新人では球団36年ぶりの遊撃でスタメン出場。今季年俸は1200万円(推定)。179センチ、73キロ。右投げ左打ち。

 ▼ルーキー源田が全イニング出場。2リーグ制後、全試合に出場した新人は97年小坂(ロッテ)以来11人目で、西武では初めて。新人の全イニング出場は、56年佐々木(高橋)58年長嶋(巨人)61年徳武(国鉄)に次いで56年ぶり4人目。遊撃手としては、2リーグ制後の新人で初めてだ。ちなみに今季の両リーグで全イニング出場を記録したのは、田中(広島)倉本(DeNA)山田(ヤクルト)源田、秋山(西武)の5人。

 ▼源田が1回に今季10本目の三塁打。シーズン2桁三塁打は15年秋山(西武)以来だが、新人では58年本屋敷(阪急)以来59年ぶり9人目。