広島丸ら、退団の石井・河田Cに「日本一で恩返し」

練習中に東出打撃コーチと打球を眺める丸(左)

 日本一で恩返しじゃ~! 広島石井琢朗打撃コーチ(47)、河田雄祐外野守備走塁コーチ(49)が5日、今季限りでの辞任を申し入れ、了承された。2人に教えを請うた丸佳浩外野手(28)、松山竜平外野手(32)、田中広輔内野手(28)は「日本一で恩返し」と口をそろえた。緒方孝市監督(48)も日本一を誓った。

 普段と変わらぬ光景が、秋風の吹くグラウンドにあった。石井、河田の両コーチがこの日までに辞任を申し入れ、今季限りで退団することが発表された。だが選手はクライマックスシリーズ(CS)ファイナルステージへ向け仕上げていく段階だ。両コーチも「CSのことで頭がいっぱい」と語ったように、変わらぬ熱意を持って指導した。

 2人がそろって感謝の言葉を口にしたように、選手も感謝を口にする。CSを勝ち上がり、33年ぶりの日本一で喜びを共有することが、最大の恩返しになる。石井コーチとともに打撃フォームを見直した丸は「いろいろと教えてもらった。今季までしか一緒に戦えない。日本一という最高の結果で送り出したい」と静かに意気込む。今季不動の3番として171安打を放ち、初の最多安打を手中に収めた。「優勝の充実感とタイトル。うれしいです」と笑った。

 リードオフマンの田中は河田コーチに走塁をたたき込まれた。走り方、スタート、スライディングを改善。今季35盗塁をマークし盗塁王が当確。攻撃面でも出塁率3割9分8厘でこちらも初タイトルを手中に収めた。「河田さんは盗塁について、親身に教えてくれた。2人のコーチに感謝したい。結果的にそう(優勝で恩返し)なればいい」と語る。4番を張る松山も「日本一をとって恩返ししたい」と力を込めた。

 指揮官もモチベーションに変える。「琢朗は選手時代から一緒にやって。監督になって、力になってもらいたくてお願いした。河田さんも西武を退団してから、手伝ってくださいとお願いした。もっと一緒にやってもらいたいし、正直さみしい。最後、良い形で締めくくれれば」と日本一を誓った。チーム一丸の理由がまたひとつ、増えた。【池本泰尚】