涌井メジャーへ海外FA行使…国内、宣言残留も視野

海外FA権を行使する意思を固めたロッテ涌井

 ロッテ涌井秀章投手(31)が海外FA(フリーエージェント)権を行使する意思を固めたことが10日、分かった。13年オフに国内FA権を行使し、西武から移籍。今年9月4日に出場選手登録日数が通算4年に達し、海外移籍も可能なFA権を再取得した。今後は米球界移籍を第一に目指すが、国内他球団、さらにはロッテへの「宣言残留」も選択肢として残している。

 夢の実現へ、涌井が決断した。昨季でロッテとの3年契約が終了。投手陣の柱と評価する球団からは、複数年契約を提示された。涌井は新たな契約年数を明かしていないが、球団関係者によれば単年を選択。今オフにFA宣言する可能性を考えての判断だった。かねて「メジャー挑戦」という高い目標を持つ。国内FA権しかなかった前回と異なり、今回は米球界移籍を軸としたFA宣言となる。

 今季の登板試合を、たびたび複数の米球団スカウトが視察していた。パドレス、カージナルス、マリナーズなど、先発が手薄な球団が獲得に動く可能性がある。プロ入りから大きな故障がなく、先発を担ったシーズンは、ほぼ毎年、規定投球回をクリア。5勝と移籍後最少勝ち星に終わった今季でも規定には達しており、スタミナは球界屈指だ。

 新たな挑戦は家族の後押しが力となっている。9月にFA権を再取得した際「今は独身ではないので1人では決められない。家族とよりよい人生になるように、しっかりと考えていきたいと思います」とコメント。昨年11月モデルの押切もえと結婚した。その夫人は第1子出産を控えるが、どういう決断でも涌井の意思を尊重するとみられる。

 関係者によると、涌井はあらゆる可能性を模索しており、国内他球団も選択肢に入っている。環境の変化による刺激で、自らを成長させてきた。西武時代の最後は抑えだったが、ロッテで先発に再挑戦。15年に最多勝に輝き、先発として復活を遂げた。32歳を迎える来季、厳しい環境に身を置く意味でも国内他球団も視野に入れ、新たな環境での勝負を選択する可能性もある。同時にロッテへの愛着も強く、FA宣言後も交渉は続ける予定。ロッテ側も昨年までの方針を変え、宣言残留を容認している。

 ◆涌井秀章(わくい・ひであき)1986年(昭61)6月21日生まれ、千葉・松戸市出身。横浜から04年ドラフト1巡目で西武入団。13年オフにFAでロッテ移籍。最多勝利3度(07、09、15年)沢村賞(09年)ゴールデングラブ賞4度(09、10、15、16年)。08年北京五輪、09、13年WBC日本代表。16年にモデルの押切もえと結婚。今季年俸2億5000万円(推定)。185センチ、85キロ。右投げ右打ち。