ハクション大魔王!楽天ウィーラーCS弾ツボはまる

4回表楽天1死二塁、野上(右)の暴投を炭谷が見失い、二塁から生還するウィーラー(撮影・中島郁夫)

 呼ばれて飛び出てじゃじゃじゃじゃーん 楽天ゼラス・ウィーラー内野手(30)が、打って、走って、チームをCSファイナルステージへ導いた。初回、2死満塁から執念の内野安打で先制点を演出すると、4回には相手バッテリーミスを見逃さず、二塁から一気に本塁まで激走し、2点目をもぎ取った。1点リードの8回には、西武シュリッターの速球を左翼スタンド上段に放り込む自身CS初アーチ。似てるといわれるハクション大魔王に負けない活躍で、勝利に導いた。

 完璧な打球だった。ウィーラーは1点リードの8回、シュリッターの真ん中速球を完璧に捉え、左翼スタンド上段まで運んだ。「寒かったので、手の感触があまりなかった」と言いながらも、ダイヤモンドを1周しベンチへ戻ると、力強いハイタッチで喜びを爆発させた。「2-1だったので打ててよかった。非常に興奮している」。自身CS初アーチを満面の笑みで振り返った。

 監督に報いることができた。主砲として期待された今季、3・4月の打率が1割9分1厘。大不振の中、梨田監督から「肩の荷を下ろして、自分のプレーをすれば大丈夫だよ」と背中を押され、奮起を誓った。

 ウィーラー 開幕当初は正直、プレッシャーを感じていた。だが、監督にそう言われて「楽しく、自分らしくプレーしよう」と思えたんだ。復調できた大きなきっかけだったよ。

 球団外国人史上最多の31本塁打で、監督への感謝を表したが、まだ満足していない。「昨年果たせなかったプレーオフ。そこで結果を残さなければならない」と、何度も繰り返した。

 第2戦まで無安打。結果を出せずとも「この時期は数字は関係ない。楽しんで、全力でプレーするだけ」と常に前向きだった。第3戦では豪快なくしゃみのように爆発した。1回2死満塁で先制の適時内野安打。4回には、西武野上の暴投で「(捕手炭谷が)ボールを見失っていた」と、二塁走者のウィーラーが好判断で本塁に生還。貴重な2点目を奪った。梨田監督からも「ウィーラーが元気だとチームが助かる」と手放しで褒められた。

 愛くるしい笑顔。「ハクション大魔王」に似ていることから、ファンに大人気のウィーラーはお立ち台で叫んだ。「福岡で熱い熱い応援よろしく!」。ツボにはまった時の活躍にすごみを感じさせる強力助っ人が、熱いプレーで、ファンの願いをかなえる。【田口元義】

 ▼6番のウィーラー、8番の枡田がともに本塁打を含む3安打。プレーオフ、CSで本塁打を含む猛打賞は今年の1S第2戦大山(阪神)がいるが、同じチームで複数の選手が記録したのは、09年2S第4戦の日本ハム(森本、スレッジ)に次いで2度目。日本ハムは森本が2番、スレッジが5番で、下位打線の2人が記録したのは史上初めてだ。ちなみに09年の日本ハムを率いていたのも梨田監督だった。