DeNA泥んこ勝ちから下克上突破!中0日で広島戦

阪神対DeNA CSファイナルステージに進出を決めたDeNラミレス監督(右端)は筒香らとハイタッチ(撮影・たえ見朱実)

 ラミちゃん率いるDeNAが、2年連続で奇跡を起こした。クライマックスシリーズ(CS)ファーストステージ(S)第3戦で、阪神を6-1で下しファイナルS進出を決めた。15日に行われた世紀の泥んこ試合を制した勢いそのままに、2戦連続2桁安打で打線が爆発。セ・リーグで3試合制のプレーオフ、CSの初戦を落として進出を決めたのは09年中日の1チームのみ。アレックス・ラミレス監督(43)は昨季に続き2年連続で、日本シリーズ進出をかけて、今日18日からマツダスタジアムで広島と激突する。

 ゆっくりと、球審に交代を告げるラミレス監督のシューズに、泥はついていなかった。勝利を確信し守護神・山崎康を9回のマウンドへ。5点差のセーフティーリード。「点差はあっても阪神のホーム。全く安心はしていない。僅差勝負だと勝ちパターンの継投にした」。堂々たる勝ちゲーム。第2戦の泥んこ乱打戦から打って変わって、先行逃げ切りの展開を制し広島行きのチケットを獲得した。

 きれいに整えられた雨上がりの甲子園で、開始と同時に打線が機能した。初戦を落とし、第2戦から「2番梶谷」の攻撃的打線へすぐに切り替えた。その梶谷がロペスの先制タイムリーの間に、一塁から三塁へ激走。湿った芝生への打球を見極めて、畳み掛けた。「彼の素晴らしい決断だ」。散発4安打で無得点に終わった第1戦から、きっぱりと切り替えたことが、この大一番で生きた。

 セで3試合制のプレーオフ、CSの初戦を落として進出を決めたのは、過去10年でわずか1チーム。そんなジンクスに「僕はジンクスや験担ぎを信じない。選手たちがネバーギブアップで戦ってくれたおかげ」と吹き飛ばした。一方で、CSと同時にシューズを新調。「靴も新しくして、気持ちも新たにいこうと思ってね」。験は担がないけど、気持ちはリフレッシュ。そんなラミちゃんに引っ張られて、チームはいつも明るかった。「今年初日からこの日までいいときも悪いときもあったが、いつも明るく同じ環境をつくってくれた。本当に選手たちには感謝したい」。これが指揮官のうそ偽りない本音だ。

 昨季に続くファイナルS広島ラウンド。今日から始まるセ・リーグ最終決戦に向けて、すぐにリセットした。「広島での戦いは全く違うものになる。この3試合はもう、関係ない」。勝者として甲子園の土を残し、きれいなシューズのまま広島へ乗り込んだ。【栗田成芳】

 ▼公式戦3位のDeNAが2年連続で1S突破。プレーオフ、CSで3位球団の1S突破は今年の楽天に続き両リーグ14度目。2年連続はDeNAが初めてだ。過去、最終Sに進んだ延べ12チームのうち、日本シリーズ進出は10年ロッテだけ(突破確率8・3%)。また、1Sで3試合戦ったチームの最終Sは12度続けて敗退中。2ステージ制で1Sから移動日なしで最終Sに進んだ14年日本ハムはソフトバンクに敗れているが、DeNAは不利なデータを覆せるか。