DeNA筒香「あと5勝」広島倒し日本S横浜帰還だ

ファイナルステージ進出を決め、筒香(中央右)は笑顔でロペス(同左)と抱き合う(撮影・河南真一)

 目的地は本拠地・横浜スタジアムだ! DeNA筒香嘉智外野手(25)が、第1関門を突破した。クライマックスシリーズ(CS)ファーストステージで阪神を退け、リーグ覇者・広島への挑戦権を得た。この日は無安打に終わるも、15日の第2戦ではユニホームを泥だらけにしながら強烈な気迫を示し、チームをけん引。赤ヘル軍団が待ち受ける敵地に乗り込み、今日18日から同ファイナルステージに臨む。

 筒香が青々とした甲子園の芝生で跳びはねた。9回2死、代打中谷が空振り三振でゲームセット。白い歯をちらほら見せながら二塁ベース後方で外野を守る桑原、梶谷と合流。息ぴったりにタイミングを合わせジャンプしてお尻をぶつけ合った。先制直後の1回無死一、三塁から四球を選びチャンスを拡大させたが、この日は4打数無安打。快音なき勝利も「自分どうこうは今は関係ない。チームが勝つことだけ」と一丸だけを強調した。

 ファイナルステージ進出決定から数十分後に取材エリアに現れた。「ここからなんで。広島に行くことが目標ではない。横浜に帰らないといけない」。本拠地に戻るためには、日本シリーズ出場権が必要。真っ赤に染まるマツダスタジアムを経由し、真っ青に沸き上がる横浜スタジアムに真剣勝負を持って帰ると誓った。

 主将に就任して3年目。25歳で球界トップクラスまで上り詰めた。成長の糧となったエネルギーを与えてくれたのは、球場を満員に埋めてくれたファンだった。今季の主催71試合で実数発表後の05年以降過去最多となる197万9446人。ただ、筒香には危機感もある。「今は球団の方のいろいろな働きかけでスタンドを埋めてもらっている。僕たちは、まだ何も結果を示せていない。恩返しできていない。勝てなければ、また離れていく。だから勝たないといけないんです」。

 敗戦が敗退を意味する大一番の中でも目的地はぶれなかった。「今日勝てばいいではない。今日は通過点。今日も勝たなければいけない。あと5勝です」。あくまでも広島を倒して横浜に帰還することだけに照準を合わせていた。チームは、今季リーグで唯一、広島に勝ち越している。筒香自身も打率3割2分3厘、6本塁打とまったく苦にしていない。あと4勝。横浜スタジアムに戻るための切符を奪い取りにいく。【為田聡史】