慶大・岩見W記録弾!由伸超えへM2、田淵へM1

立大対慶大 1回裏慶大2死三塁、岩見は中越え21号本塁打を放つ(撮影・山崎哲司)

 ドラフト会議(26日)を前に、慶大・岩見雅紀外野手(4年=比叡山)がまたもや本塁打の記録を更新した。立大戦の1回、今季7号(通算21本)となる中越え2ランを放った。春の5本を加えて年間12本とし、丸山泰令(慶大=11本)のリーグ記録を更新した。シーズン7本は最多(法大・田中彰)タイ。岩見の1発で勢いづき、チームは連勝で勝ち点3とし、首位に浮上した。28日からの早慶戦に優勝と先輩高橋由伸(現巨人監督)の通算23本塁打更新をかけて臨む。

 岩見本人にしか分からない感覚だろう。3球目の122キロを空振りして「いけるかなと思った」という。2球ファウルしたあとの6球目、126キロの外低めスライダーをすくい上げた。直後にバックスクリーン左端に吸い込まれた。「ストレート待ちで、変化球に体が止まってすくえた。先っちょだったけど、飛びました」。7球団のスカウトが見守る中で飛びだした7号は、年間最多記録を更新、シーズン最多に並んだ。

 相手投手の攻めは厳しくなるばかりだ。「今日も本塁打したら、あとは内角しか来なかった。でも仕方ないですし、光栄です」。30センチの足は、スタンスをとると、厳しい攻めにも全く動かない。「待ち方がよくなっている。バットに当たるのはファウルできるし」。

 187センチ、107キロの巨体。胸囲109センチ、太ももは68センチもある。打球は面白いように飛ぶ。慶大の日吉グラウンドで打撃練習を行うときは、本塁を下げる。左翼ポールまでの距離をとるが、それでもネットを越える。老夫婦が住む飯島邸は135メートルの距離にありながら、屋根を直撃され、ガラスを割ったことも。予備のかわらが常に用意されている。開幕前の8月末、岩見はマネジャーとサインボールを持って飯島邸を訪れてわびたというが、逆に励まされた。

 「今日は全部出塁でしょう。いい仕事をしたね」。大久保秀昭監督(48)も岩見を絶賛した。本塁打のあとは四球、死球と来て7回2死後に中前打で出塁、ダメ押しのホームを踏んだ。「久しぶりにヒット(単打)が打てた。ヒットの方がうれしい」。今季の安打数はこの日でちょうど10本、うち7本が本塁打だ。

 残すは早慶戦。次週の明大、立大の結果待ちだが、2連勝なら自力で優勝となる。「優勝するために打てればいい。記録は考えない。終わったら、分かる。楽しみです」。早慶戦はドラフトから2日後。指名球団が決まっても、岩見からはまだ目が離せない。【米谷輝昭】

 ◆岩見雅紀(いわみ・まさき)1994年(平6)7月10日生まれ、滋賀・大津市出身。比叡山では甲子園出場なし、高校通算47本塁打。1浪して慶大総合政策学部。背番号「13」は憧れのアレックス・ロドリゲス(元ヤンキース)から。侍ジャパン大学代表で今夏のユニバーシアード金メダル。187センチ、107キロ。右投げ右打ち。