連勝楽天、CS突破で下克上祝いビールかけ実施直訴

ソフトバンク対楽天 7回表楽天1死二塁、勝ち越しとなる適時二塁打を放ち喜びを爆発させる嶋(撮影・野上伸悟)

 歓喜のビール・シャワーまで残り2勝だ。楽天のキャプテン嶋基宏捕手(32)が、クライマックスシリーズ(CS)ファイナルステージ第2戦、同点の7回1死二塁から決勝の適時二塁打を放った。これで第1戦から2連勝。ソフトバンクのアドバンテージ1勝を含めて2勝1敗とした。CSファイナルステージ突破の場合は、選手会長・銀次の発案でビールかけの準備も検討中。今日20日に先発の則本、21日に先発予定の岸の2枚看板で一気に駆け抜ける。

 嶋が、ほえた。何度も両手をたたき、ベンチに向かってガッツポーズを決めた。1-1の7回1死二塁。ソフトバンク先発・千賀の145キロ直球を完璧に捉え、中堅左を切り裂いた。先頭・聖沢が、一塁にヘッドスライディングで内野安打をもぎ取った。次打者・岡島が初球を確実にバント。均衡状態の中で仲間が作った流れをキャプテンが、一振りで決めた。

 嶋 聖沢も全力で走って、先発、中継ぎも1つずつアウトを積み重ねて。そういう気持ちに応えたいと思っていた。チームの雰囲気はいいですよ。

 チームの意識は、今まさに1つになっている。前日18日、選手会長の銀次が動いた。嶋や藤田らベテラン陣と話し合い、立花球団社長に直訴した。「ファイナルステージを突破した場合、ビールかけをやらせてください」。大きな効果があると思ってそう言った。

 13年はリーグVと日本一で2回ビールかけを経験した。だが、CSを突破した際は行われなかった。下戸の銀次だが「あの空間に流れるみんなのつながりは、言葉に出来ないものがある。僕らは3位でシーズンを終えた。そこから2位の西武、1位のソフトバンクを倒して日本シリーズに挑戦するという意味で1度、締めたい」と考えている。藤田も「そういうことが出来るというものがあれば、より一層みんなで向かっていける」とつながりを感じている。

 立花球団社長も「まだリアリティーがないですが、もしそうなったら準備します」と前向きな検討を約束した。首位ソフトバンクに対して、第1戦から2連勝。残り2勝で日本シリーズ行きの切符をつかめる。今日は則本、明日は岸とチームが誇る2枚看板が先発。突破への予感は漂う。ただ、梨田監督は「やっと五分になった。そんなに甘くない」と制した。嶋も「まだまだ。厳しい戦いは続く。1つ負ければ、流れは変わる。隙を突いてくる相手。また気を引き締めてやっていくだけ」と言った。一戦必勝の短期決戦。より強固となったチームの和を武器に今日、明日も全員で勝利をもぎ取る。【栗田尚樹】

 ▼楽天は前日18日の3-2勝利に続き、1点差勝ち。プレーオフ、CSで2試合連続1点差勝利は、05年2S3、4戦のソフトバンク(5-4、3-2)10年1S1、2戦のロッテ(6-5、5-4)に次いで7年ぶり3度目。

 ▼楽天がアドバンテージの黒星を含め2勝1敗。日本シリーズ出場をかけたプレーオフ、CSで1敗から2連勝したのは延べ6チーム目。過去5チームのうち75年阪急、04年西武、14年阪神が勝ち上がっている。また、これで1S2戦から4連勝。プレーオフ、CSでは07年中日、14年阪神が5連勝しているが、パ・リーグで4連勝は05年ロッテに並ぶタイ記録。